平成15年度 行政書士試験

択一式等

法令問題

[問題1~問題40]

問1

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 法令の公布は、慣行として官報によることとされている。
  2. 法令は、公布され、かつ施行される日から国民に対する効力を生じうる。
  3. 法令は、その附則において施行期日について規定していることが通例である。
  4. 法令が公布の日から施行されるということはない。
  5. 法令または条例に規定された罰則が、施行期日前の事実につき行為者に不利に適用されることはない。

答え.4

問2

わが国における紛争解決制度についての記述として、正しいものはどれか。

  1. 独占禁止法違反事件では、公正取引委員会による審決が終審となり、裁判所で裁判することは認められていない。
  2. 離婚事件においては、家庭裁判所が離婚原因としての不貞行為があると判断したときは、直ちに離婚を認める旨の審判を行うことができる。
  3. 契約上の紛争で訴訟開始前に簡易裁判所に和解の申立てを行い、話し合って合意した内容が調書に記載されると、その記載は確定判決と同じ効力を生ずる。
  4. 損害賠償請求事件では、最高裁判所は加害行為があったかどうかの事実認定につき必ず判断しなければならない。
  5. 殺人事件では、最高裁判所は被告人が殺人を犯したかどうかの事実認定につき判断することは一切できない。

答え.3

問3

次の憲法条文の例のうち、権利の保障のあり方について、他とは異なる考え方に基づくものはどれか。

  1. 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
  2. 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。
  3. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
  4. 日本国民は法律の範囲内において居住及び移転の自由を有する。
  5. 学問の自由は、これを保障する。

答え.4

問4

次の文章は、ある最高裁判決の一部である。そこにいう検閲の定義にあてはまると考えられる事例は、ア~オのうち、いくつあるか。
 憲法21条2項にいう「検閲」とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す。

ア、税関で、関税定率法における輸入禁制品の検査の結果、わいせつ表現を含む書物の輸入を禁止すること
イ、当事者の申請に基づき審理した上で、裁判所が、名誉毀損表現を含む出版物を、仮処分により事前に差し止めること
ウ、高等学校用「政治・経済」の教科書として出版しようとした書物につき、文部科学省で検定し、不合格の処分を行うこと
エ、メーデー式典に使用する目的で出された、公共の用に供されている広場の利用申請に対して、不許可の処分を行うこと
オ、総務省で、出版前に書物を献本することを義務づけ、内閲の結果、風俗を害すべき書物については、発行を禁止すること

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

答え.1

問5

次の記述のうち、刑事手続に関する日本国憲法の条文の字句に照らして、誤っているものはどれか。

  1. 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
  2. 何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
  3. すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
  4. 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
  5. 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその賠償を求めることができる。

答え.5

問6

議院の解散に関する日本国憲法の条文に照らして、次の記述のうち誤っているものはどれか。

  1. 天皇は、内閣の助言と承認により、国事に関する行為として衆議院を解散する。
  2. 内閣総理大臣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、単独で責任を負い辞職しなければならない。
  3. 衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。
  4. 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。
  5. 衆議院の解散後、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。

答え.2

問7

日本国憲法の条文およびその解釈によって導かれる「最高裁判所の機能」として、誤っているものはどれか。

  1. 司法権
  2. 規則制定権
  3. 法令の憲法適合性の審査権
  4. 国会議員の資格争訟の裁判権
  5. 下級裁判所裁判官の指名権

答え.4

問8

情報公開法(「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」)は、何人にも「行政文書」の開示請求権を認める(第3条)。開示請求は、開示請求書を行政機関の長に提出してしなければならないが、次に揚げる事項(ア~オ)のうち、同法第4条が開示請求書の記載事項として要求しているものは、いくつあるか。
ア、開示請求をする者の氏名または名称および住所または居所ならびに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
イ、開示請求をする者の本人性を証する書類
ウ、行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項
エ、当該行政文書の開示を請求する理由
オ、開示請求に対して決定がなされるべき期限

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

答え.2

問9

行政に関する公法と私法の関係についての次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らして妥当なものはどれか。

  1. 食品衛生法の許可を得ないで取引をなした場合においては、消費者保護の法理により、その取引に関する売買契約は私法上無効であり、買主は代金の返金を要求することができる。
  2. 公営住宅に入居するにあたって、入居者は地方公共団体から使用許可を受けなければならず、入居者と地方公共団体の間には公営住宅法ならびに関係条例が適用されるから、借家法は適用される余地はない。
  3. 防火地域内にある耐火構造の建築物の外壁を隣地境界線に接して設けることができるとしている建築基準法第65条の規定は、相隣関係に関する民法第234条の規定の特則として、民法の規定の適用を排除するものである。
  4. 道路を利用する利益は反射的利益であり、建築基準法に基づいて道路位置の指定がなされている私道の敷地所有者に対し、通行妨害行為の排除を求める人格的権利を認めることはできない。
  5. 公営住宅の使用関係は基本的に私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはないから、公営住宅の入居者が死亡した場合には、その相続人は当該公営住宅を使用する権利を原則として継承する。

答え.3

問10

国家賠償法についての次の記述のうち、判例に照らして妥当なものはどれか。

  1. 国家賠償法第1条の責任は、公務員の違法な公権力の行使があった場合について国・公共団体が代位する責任であることから、違法な公権力の行使がなされたとしても、その公権力の行使者たる公務員が特定されない場合には、国家賠償責任が成立することはない。
  2. 国家賠償法は国・公共団体の不法行為責任にかかる一般法であることから、国公立病院の医療過誤に関する責任も、民法第709条以下の不法行為責任に関する法理は適用されることなく、国家賠償法第1条が適用される。
  3. 国家賠償法は、国・公共団体の個別・具体的な公権力の行使に関する賠償責任であるから、執行権としての行政機関の行為が対象となる。これに対して、議会の立法は抽象的な法規範を定めるものであり、個別具体的に個人の権利を侵害するものではないので、そもそも国家賠償法に基づく賠償責任の対象とはならない。
  4. 国家賠償法の責任は、公務員の違法な公権力の行使についての制度であることから、行為者は国家公務員法もしくは地方公務員法上の常勤の公務員であることを要する。これに対し、一時的に公務を行う非常勤公務員の行為に起因する損害は、民法の不法行為責任の対象となり、国家賠償責任の対象外である。
  5. 非番の警察官が、管轄区域外で犯罪を行った場合でも、それが職務執行に名を借りて行ったものである以上、当該警察官の行為は国家賠償法第1条にいう職務の遂につきなされた違法な公権力の行使であり、当該警察官の所属する地方公共団体が賠償責任を負う。

答え.5

問11改題

訴訟を提起することができる期間が法律によって定められている場合、それを「出訴期間」という。行政庁の処分をめぐる各訴訟とその出訴期間の原則に関するア~オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア、行政事件訴訟法によると、無効等確認訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月以内である。
イ、行政事件訴訟法によると、取消訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月以内である。
ウ、国家賠償法によると、国家賠償請求訴訟の出訴期間は、原因となる行為のあったことを知った日から6か月以内である。
エ、行政事件訴訟法によると、不作為の違法確認訴訟の出訴期間は、申請をした日から6か月以内である。
オ、行政事件訴訟法によると、義務づけ訴訟の出訴期間は、申請をした日から6か月以内である。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

答え.1

問12

次の手続的権利には、行政手続法に定められているものと行政不服審査法に定められているものとがある。そのうち、両法に定められているものは、いくつあるか。
ア、関係職員への質問
イ、反論書の提出
ウ、証拠書類等の提出
エ、物件の提出要求の申立て
オ、検証の申立てと立会い

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

答え.1

問13

行政手続法が施行された時点(平成6年10月1日)では、同法と地方自治法の関係は希薄であった。ところが、いわゆる地方分権一括法(「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」)により改正された新地方自治法(平成12年4月1日施行)には、第245条以下に、行政手続法と極めて似かよった規定がいくつか置かれることになった。 次のア~オのうち、行政手続法と地方自治法が共通して定めを設けている事項は、いくつあるか。
ア、申請拒否処分の際の理由の提示
イ、許認可に際しての標準処理期間の作成・公表
ウ、許認可の取消しに先立つ聴聞の実施
エ、許認可の取消しに際しての書面主義
オ、届出に関する到達主義

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

答え.3

問14

次の記述のうち、行政手続法上正しいものはどれか。

  1. 聴聞の主宰者は、弁明または聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参考人の陳述の要旨を明らかにしなければならない。
  2. 聴聞の主宰者は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日毎に聴聞調書を作成しなければならない。但し、当該審理が行われなかった場合には、聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。
  3. 聴聞の主宰者は、聴聞の期日毎に、前回作成した聴聞調書を当事者または参考人に示し、その内容に異議がないかどうか確認しなければならない。当事者または参考人は、聴聞調書の内容に異議があるときは、直ちに行政庁に対し異議申立てすることができる。
  4. 聴聞の主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した聴聞裁定書を作成し、聴聞調書とともに行政庁に提出しなければならない。
  5. 当事者または参考人は、行政庁の許可を得て、聴聞裁定書の閲覧を請求することができる。

答え.2

問15

行政不服審査法による不服申立てをめぐる次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不服申立ては、行政庁の「処分」に対しては認められているが、行政庁の「不作為」に対しては認められていない。
  2. 不服申立ては、「国会の両院若しくは一院又は議会の議決によって行なわれる処分」に対しても認められる。
  3. 処分につき不服申立てをすることができる場合においても、処分の取消しの訴えを直ちに提起してかまわない。
  4. 審査請求は、「処分庁に上級行政庁がないとき」にすることができる。
  5. 再審査請求は、法律に「再審査請求をすることができる」旨の定めがなくても、審査請求が認められていれば、当該審査請求の裁決に不服がある場合、当然にすることができる。

答え.3

問16改題

ア~オの記述のうち、行政不服審査法に照らして誤っているものは、いくつあるか。
ア、処分における不服申立てを審査する行政庁は、申請した利害関係人に、参加人として不服申立てに参加することを許可する権限を有する。
イ、処分における不服申立てにおいて、不服申立人は、審査する行政庁に、必要と考える参考人の事実陳述を求めるよう申し立てることができる。
ウ、不服申立人は、不服申立てを審査する行政庁に、処分の理由となった事実を証する書類等の閲覧を正当な事由があれば求めることができる。
エ、不服申立てを審査する行政庁は、審査の必要に応じて、書類その他の物件の所持人にそれらの提出を命ずることができる。
オ、不服申立ての審理は書面によるのが原則で、不服申立人に口頭意見陳述の機会を与えるのは、不服申立てを審査する行政庁が必要と認めた場合である。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

答え.3

問17

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 法律が個別に定めていないような罰則を、条例で規定することも、一定限度内において可能である。
  2. 個別の法律の罰則よりきびしい罰則を条例に規定することも、一定範囲内において可能である。
  3. 法律の委任がある事項につき、委任の範囲内で条例に罰則を定めることは可能である。
  4. 条例には、法律の個別委任がない限り、刑罰でない過料を規定することもできない。
  5. 条例で罰則に関し施行規則に包括委任することは許されない。

答え.4

問18

地方公共団体のいわゆる100条調査権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 普通地方公共団体の議会は、法定受託事務・自治事務の区別なく、当該普通地方公共団体の事務すべてについて調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭および証言ならびに記録の提出を請求することができる。
  2. 普通地方公共団体の議会が、調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭および証言ならびに記録の提出を請求するときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長その他関係する官公署との協議を経なければならない。
  3. 議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため、選挙人その他の関係人に出頭および証言または記録の提出を請求した場合に、正当な理由がないのに、これを拒否したときは、条例の定めるところにより、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処することができる。
  4. 議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実について、その者から職務上の秘密に属するものであることを理由に当該事実に関する証言または記録の提出を拒否されたときは、議員数の3分の2以上が出席しその4分の3以上の特別多数決に基づき、当該事実に関する証言または記録の提出が得られないときには公の利益が害される旨の声明を公にすることにより、選挙人その他の関係人の守秘義務を解除することができる。
  5. 議会は、選挙人その他の関係人に出頭および証言または記録の提出を請求した場合に、正当な理由がないのに、これを拒否したとき、または虚偽の陳述をしたものと認めるときは、告発しなければならない。ただし、虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が、議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、告発しないことができる。

答え.5

問19

地方自治法上の住民訴訟による差止め請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって当該普通地方公共団体に回復の困難な損害を生ずるおそれのあるときは、することはできない。
  2. 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって当該普通地方公共団体に回復の困難な損害が生ずるおそれのあるときもしくは公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。
  3. 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求に基づく差止めは、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由がある場合であって、当該行為を差し止めることによって、当該普通地方公共団体に回復困難な損害を生ずるおそれがあり、かつ、当該行為を停止することによって人の生命または身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときに限り、することができる。
  4. 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって人の生命または身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。
  5. 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求は、これを差し止めることにより、公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度および方法その他一切の事情を考慮したうえ、その差止めが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は請求を棄却することができる。

答え.4

問20

地方自治法上の法定受託事務に係る処理基準に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 都道府県の執行機関は、市町村の執行機関の担任する第一号法定受託事務および第二号法定受託事務について、市町村の執行機関が当該法定受託事務を処理するにあたりよるべき基準を定めることができる。
  2. 各大臣は、その所管する法令に係る都道府県の法定受託事務の処理については、都道府県が当該法定受託事務を処理するにあたりよるべき基準を、都道府県との協議に基づき定めることができる。
  3. 各大臣は、特に必要があると認めるときは、その所管する法令に係る市町村の執行機関が担任する第一号法定受託事務および第二号法定受託事務の処理について、市町村の執行機関が当該法定受託事務を処理するにあたりよるべき基準を定めることができる。
  4. 各大臣は、特に必要があると認めるときは、その所管する法令に係る市町村の執行機関が担任する第一号法定受託事務および第二号法定受託事務の処理について、都道府県の執行機関に対し、都道府県の執行機関が定める処理基準に関し、必要な指示をすることができる。
  5. 法定受託事務の処理基準は、一般的基準にとどまらず、個々具体的な事例を対象とすることができ、かつ、個々の都道府県または市町村に対し、訓令または通達の形式で発することもできる。

答え.1

問27

Aが以下のような状況で契約した場合、大審院ないし最高裁判所の見解に立つと、本人に契約上の効果が帰属することになるものはどれか。

  1. 本人所有の甲不動産を処分するための代理権を与えられているAが、Bに甲不動産を譲渡する際、Bから受け取る代金は専ら自己の借金の返済に使うという意図をもって代理人として契約をしたが、Bは取引上相当な注意をしてもAのそのような意図を知ることができなかった場合
  2. 請負人とAとの間で下請負契約が締結されていたので、Aは工事材料の買い入れにあたって請負人を本人とし、自己がその代理人であるとしてBと契約をした場合
  3. 代理権限の与えられていないAが、本人の代理人である旨を記載した白紙委任状を偽造して提示し、代理人と称したので、Bがそれを信頼して契約をした場合
  4. 本人の実印を預かっていたにすぎないAが、友人がBから借金をするのに、本人の代理人と称し、預かっていた実印を用いてBと保証契約をした場合
  5. 本人から投資の勧誘を行う者として雇われていたにすぎないAが、本人の代理人としてBと投資契約をし投資金を持ち逃げした場合

答え.1

問28

Aは、BからB所有の絵画を預かっている。最高裁判所の判例によれば、次の記述のうち妥当なものはどれか。

  1. Aがこの絵画を自分の物であると偽って善意無過失のCに売却し、以後はCのためにその絵画を預かることを約束した場合には、即時取得によりCはこの絵画の所有権を取得する。
  2. Aがこの絵画を自分の物であると偽ってCに売却し、後にBがこの売買契約を追認した場合でも、Cは契約の時に遡ってこの絵画の所有権を取得することはできない。
  3. Aがこの絵画を自分の物であると偽ってCに売却した場合、Bにこの絵画を手放す意思がないため、Aがこの絵画の所有権を取得してCに移転させることができないときは、この売買契約は無効である。
  4. Bがこの絵画を第三者Dに売却した場合、Dは売買契約のときにこの絵画の所有権を取得し、引渡しを受けていなくてもAに絵画の所有権を対抗することができる。
  5. Aが代理権もないのにBの代理人だと偽ってこの絵画をCに売却し、その後にAがBを共同相続した場合、Cは、Aの相続分に相当する共有持分については、当然に権利を取得する。

答え.4

問29

Aは不動産会社Bと、BがC工務店に注文して建築させた建売住宅を購入する契約を締結した。次のア~オとa~eの組合せとして妥当なものは、1から5のうちどれか。
ア、この建売住宅が売買契約成立後Aへの引渡し前に、Bの責に帰すべからざる事由によって火災で半焼してしまった場合、AはBに対していかなる請求ができるか。
イ、この建売住宅にCの手抜き工事による欠陥があって、漏水のためAの大切にしていた絵画が損害を受けた場合、AはCに対していかなる請求ができるか。
ウ、この建売住宅のために設定されているはずの通行地役権が設定されていなかった場合、AはBに対していかなる請求ができるか。
エ、この建売住宅が売買契約成立後Aへの引渡し前に、Bの従業員の過失によって火災になり半焼してしまった場合、AはBに対していかなる請求ができるか。
オ、この建売住宅にCの手抜き工事による欠陥があって、通行人Dがケガをしてしまった場合、DはCに対していかなる請求ができるか。

a、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求
b、危険負担に基づく代金減額請求
c、債務不履行に基づく損害賠償請求
d、危険負担に基づく解除
e、不法行為に基づく損害賠償請求

  1. ア-c
  2. イ-e
  3. ウ-d
  4. エ-b
  5. オ-a

答え.2

問30

Aには、妻Bと子C・D・Eがいる。相続に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. Aが子Cの不行跡を理由にCを廃除していた場合、Cの子FもAの遺産を代襲相続することはできない。
  2. Aが相続人の一人である妻Bを受取人とする生命保険契約を締結していた場合、その死亡保険金は相続財産に含まれる。
  3. Aが生前友人の息子Gの身元保証人になっていた場合でも、Aの相続人B・C・D・Eは、GがAの生前に使い込みをしたためAがGの使用者に対して負っていた損害賠償債務を相続しない。
  4. 遺産分割前に共同相続人の一人Dから相続財産に属する不動産について共有持分を譲り受けた第三者Hは、登記がなくても他の共同相続人B・C・Eに共有持分の取得を対抗することができる。
  5. 遺産分割前にEが自己の相続分を第三者Iに譲渡した場合、一か月以内であれば、他の共同相続人は、Iにその相続分の価額および譲受けに要した費用を償還して、その相続分を取り戻すことができる。

答え.5

問33

商行為または商人の行為に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者が買主の委託を受けて不動産売買の仲介を行い、契約を成立させた場合、売主の委託を受けず、売主のためにする意思を有してしなかったときでも、売主・買主双方に対して報酬を請求することができる。
  2. 商行為である賃貸借契約によって生じた債務の不履行を理由とする損害賠償債務は、商行為によって生じた債務ではないから、その遅延損害金の利率は民事法定利率である年5分となる。
  3. 商行為である金銭消費貸借契約に基づいて支払われた利息制限法の制限を超える利息についての不当利得返還請求権は、民事債権として10年の消滅時効にかかる。
  4. 貸金業者が顧客に生活資金を貸し付ける場合、利息の特約がなくても当然に利息付きとなる。
  5. 商人が平常取引をなす者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたのに対し、遅滞なく諾否の通知をしなかったときは、申込みを拒絶したものとみなされる。

答え.3

問34 改題

株式会社の取締役に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. すべての株式会社は定款をもってしても取締役の資格を株主に限定することはできない。
  2. 株主総会は、正当の事由がなければ、任期満了前に取締役を解任することはできない。
  3. 取締役の解任によって欠員が生じた場合、必要があるときは、利害関係人の請求により、裁判所は一時取締役の職務を行うべき者を選任することができる。
  4. 取締役会設置会社において取締役が取締役会の承認を得ないで自己のために会社の営業の部類に属する取引を行った場合、取引の時から1年を経過するまでは、取締役会は、その取引を会社のためにしたものとみなすことができる。
  5. 取締役会設置会社において取締役が、取締役会の承認を受けて会社を代表して他の取締役に金銭を貸し付けた場合であっても、その取締役はまだ弁済のない額について弁済する責任を負う。

答え.3

問36

次の文章を読み、文中の[A](漢字1字)として正しいものを記入しなさい。
日本国憲法の英訳(昭和21年11月3日英文官報)によれば、第29条第1項は、
 The right to own or to hold property is inviolable.
であり、41条は
 The Diet shall be the highest organ of state power, and shall be the sole law-making organ of the State.
とされている。この両者の日本国憲法正文を比べてみると、[A]という1文字だけが共通していることに気がつく。rightとpowerが日本語の上では同一視されて怪しまれないという事実は、日本人の法観念のありようを示唆しているようにも思われる。

正解:権

問37

地方自治法の次の諸規定を参考にし、これから推定される新地方自治法において新設された制度(第252条の17の2)について、下記の[A][B]に該当する語(漢字各2字)を記入し、その名称(条文見出し)を完成させなさい。
○旧地方自治法第153条
 ① 略
 ② 都道府県知事は、その権限に属する事務の一部をその管理に属する行政庁又は市町村長に委任することができる。
 ③ 略
○新地方自治法第2条
 ①~⑧ 略
 ⑨ この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
一 略
二 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第2号法定受託事務」という。)
○新地方自治法第 252条の14
 ① 普通地方公共団体は、協議により規約を定め、普通地方公共団体の事務の一部を、他の普通地方公共団体に委託して、当該普通地方公共団体の長又は同種の委員会若しくは委員をして管理し及び執行させることができる。
 ② 前項の規定により委託した事務を変更し、又はその事務の委託を廃止しようとするときは、関係普通地方公共団体は、同項の例により、協議してこれを行わなければならない。
 ③ 略

[A]による事務処理の[B]

正解:条例 特例

問38

次に示す条文(行政不服審査法第1条第1項)中の[A](漢字4字)、[B](漢字2字)に該当する正しい語を記入しなさい。
「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続による国民の[A]の救済を図るとともに、行政の[B]な運営を確保することを目的とする。」

正解:権利利益 適正

問40

次の記述中の[ア](漢字6字)、[イ](漢字3字)に、適当な語句を記入しなさい。
 最高裁判所は、「A所有の甲土地をAがBに譲渡したが、B名義の所有権移転の登記が行われていない状況で、当該甲土地をAがCに譲渡しC名義の所有権移転登記を経由していても、Cが[ア]である場合には、BはCに所有権者であることを登記なしに対抗することができる。しかし、当該甲土地をCがDに譲渡しD名義の所有権移転登記が行われた場合、Bは、Dが[ア]でない限り、Dに対しては所有権者であることを登記なしには対抗できない。」という見解に立っている。上記の最高裁判所の見解は、転得者であるDとの関係では、[ア]であるCにも、Aから[イ]が移転しているとの考えを前提としたものといえる。

正解:背信的悪意者 所有権


一般知識等

問42

ア~オのうち、次の文章でいう意味の「非言語によるコミュニケーション」にあたるものを組み合わせたのは、1から5のうちどれか。
 コミュニケーションとは「発信者と受信者の間の意図的な情報の受け渡し」であるとしたとき、そこには言語によるものと非言語によるものがあり、日常的にはこの両者を使いながらコミュニケーションがおこなわれている。特に親しいものの間では、非言語の部分の比重がかなり高いといわれている。

ア、赤ちゃんが、母乳を飲んだ後で満足して寝ているときにみせる笑顔
イ、日頃の親密な関係により理解できる言外の微妙なニュアンス
ウ、出来事に対して、笑いを共有したことで、お互いの類似性に気付く
エ、職場の同僚へ話しかけるときのイントネーションや響き、強弱など
オ、携帯電話、インターネットでのメールによるメッセージの交換

  1. ア・イ 
  2. イ・ウ 
  3. イ・エ 
  4. ウ・エ 
  5. ウ・オ

答え.3

問43

次の文章の主旨と合うものは1から5のうちどれか。

本来、自然とは非常に多数の種が複雑な関係をもって共存しているものである。それが、たった一つの種にすぎないヒトによって大幅にかき乱され、生態系の構成が世界各地で極端に単純化しつつある。特に熱帯多雨林には、膨大な種類の多様な生物が生存してきたが、今日その実態をほとんど知られることもなく、各地で森林まるごとが絶滅するようなこともおこっている。個々の生物種はどれも長い歴史の進化を背負った存在であり、ひとたび絶滅してしまったら決して蘇ることはない。それゆえ、わたしたちは子孫のためにも自然を保護する必要があるのだろうし、もうこれ以上生物を絶滅に追い込んではならないだろう。ところで、私は自然保護の原点は、ありのままの自然の中身をより多く知る努力をすること、そして、その中から科学的論理を引き出すことであると思っている。未知のものを解明しようと努力することで、そのものの大事さがわかってくると思うからである。かわいそうだから、惜しいから、きれいだから、懐かしいから、かわいいからといったような感情から発した運動も大いに自然保護の効力を発揮しよう。しかし、そのような感情に立脚する論は、ときに他者を説得する力強さに欠ける場合がある。野外の自然のなんたるかを、現場に踏み込んで探求する努力があってこそ、他者を説得する論理が出てくることであろう。自然保護を考えずに無神経に開発を進めるような人々に対しては、こうした実地研究を踏まえた科学的な論理こそが、有効な反駁の武器となるのではないだろうか。(出典 松本忠夫「生体と環境」)

  1. 人間の持つ力により、自然の生態系の構成は単純化されている。その単純化している現在の自然は管理がしやすいから、この方向で自然は保護すべきである。
  2. 実地踏査をもとにした科学的論理は、開発に反論する大事な実践である。そのとき自然が単純な生態系であれば、科学的な論理を導きやすい。
  3. 生物の各種は、長い進化の歴史を背負い、現在は相互の関係のなかで安定している。しかし、人間はその構造を変える文化的発展を挙げているのだから、その力を持っていることを十分に利用し、自然保護をしっかりと考えるべきである。
  4. 自然保護の最も重要な動機付けとして、人間の内面に関わる働きを挙げることができる。自然を保護することはこれを慈しむ心を持つことであり、人間的感情生活を豊かにすることにつながっている。
  5. 人間は、自然の生態系のなかで、他の種との複雑な関係を保ちながら今日まで存在してきた。そうした自然のあり方を直接認識しようとする努力の結果として得られた科学的論理こそが、開発に対する感情的な反対論を有力に補強し得る。

答え.5

問44

ア~キの文は、一連の文章をバラバラにしたものである。正しい順序にしたとき、3番目と6番目になる文の組合せはどれか。

ア、そのとき重要なことは、実験や測定の条件を変えることにより、必要な情報を取得できることである。
イ、そこで、天体現象を理解するのに十分な情報を集めるには、何をどのように測定するかが大きな問題となる。
ウ、地上の物質や現象を調べる場合には、その物質や現象を直接に測定したり、現象を実験的に再現することによって、対象とする物質や問題となる現象から定量的なデータを取得することができる。
エ、そこで、観測はもっぱら可視光線で行われ、「目に見える」宇宙のデータが蓄積され、「見える」宇宙が理解されてきた。
オ、ところが、天体を対象とするときは、一方的に伝達される情報を受動的に測定するしかない。
カ、歴史的にそうした制約が少なかったのが、可視光線で観測をすることであった。
キ、天体の発するすべての情報を集められると申し分ないわけだが、現実には、観測や測定の技術的な制約から限られた情報しか集められないことが多い。

(出典 江里口良治「宇宙の科学」より)

 3番目 6番目

  1. イ オ
  2. カ エ
  3. ア キ
  4. キ ウ
  5. オ カ

答え.5

問45

次の文章の主旨と合わないものは、ア~オのうちいくつあるか。
言葉と実態のズレは、いつの時代にも生じている。言葉がひとたび生まれると、その時点において、意味が確定する。いや、ある実体に対して一定の意味が確定されるために、その実体に言葉がかぶせられるわけだ。だが、その実体は時とともに変化し、つねに流動する。そこで、ある時間が経過すると、言葉が実体から置き去りにされることになる。言葉と実体がズレるのだ。ただ、「現在」について指摘できるのは、こういった時のもたらす普遍現象としての言葉のズレばかりではない。それだけなら、「現在」にあまりに多くの「死語」が生じている原因を説明できない。たとえば、現代になお使われている言葉、「故郷」(それに類する「帰郷」、「望郷」、「郷愁」)、「村」(それに類する「共同体」、「田舎」、「地方」)、「母」、「大衆」、「革命」、「転向」……など。それらの言葉は、ほとんど“根”を失っている。近代人が「故郷」としての「共同体」から「根こぎ」にされ、帰りたいけれど帰るところがない故郷喪失者だったとすれば、そういった<近代日本>の歴史過程で意味を確定された言葉も、いまや「根こぎ」されている。とすれば、それはいずれ「死語」と化すしかない。もちろん、「死語」となっても、言葉それじたいは残っている。たとえば、わたしはさきほど、日本の近代化と戦後の民主主義化、そうして、一九六四年以後の高度成長によって一貫して追求された物質的な幸福と社会的な平等が、現在の「大衆社会」をつくった、と指摘した。しかし、そこで使われている「大衆」と、そういった物質的な幸福と社会的な平等とを追い求める、いわばそれらの<欠如>のエトス(生活的な感情)によって日本の近代化を支えた「大衆」とは、微妙にちがう存在なのではないか。日本の近代化を支えた「大衆」は、みずから農業を中心とする「故郷」を捨て、「村」に老いた「母」を残して、都会の工場に働きに出(学校に入学し)た。そのことによって、“根”としてあるべき「故郷」を哀しく低く心中に歌いつづけなければならなかった。これが、“望郷”の歌としての演歌になるわけだ。近代日本の「大衆」はその“望郷”の歌を心中に低く歌うことによって<欠如>の状態に耐え抜いたのである。その意味で、啄木の三行詩と演歌とは抒情的に見て連続しているわけだ。それはともかく、物質的な幸福と社会的な平等とが満たされたこんにちの「大衆社会」にあっては、その「大衆」を動かしているものは、すでに<欠如>の状態のエトスではない。むしろ<過剰>の状態のエトスである。かつては、<欠如>の状態に「耐乏」し、そこから抜け出すために「一所懸命」「努力」することが、近代日本の社会を支えるエトスだった。これに対して、いまや、<過剰>の状態に「それなりに」、「満足」する事が、「大衆社会」のエトスになったのである。こういった異なったエトスをもっている存在を、ともに「大衆」という言葉で呼びつづけることができるのだろうか。(出典 松本健一「言葉の『現在』」より)

ア、すべての言葉は、実体が時とともに変化することによって、死語になることから免れることはできない。
イ、「故郷」「村」「母」などの言葉は、<近代日本>の歴史過程の中で実体に対応していたが、近代人が「共同体」から離れたことで「死語」となるしかない。
ウ、「死語」とは、言葉としては存在しているが、その言葉が「現在」の社会の中では対応する実体を失っている言葉であって、使う必要がないものである。
エ、<近代日本>の歴史過程の中で近代化を支えた「大衆」は、抒情的な意識を持つことで、「故郷」を離れ都会に出てくることができた。
オ、「大衆」という言葉は、過去における<欠如>と現在における<過剰>という生活感情の変化はあるものの、共に同じ「大衆」という言葉で表現できる。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

答え.4

問46

次の文章に『いささか逆説的に聞こえるかもしれないが』という表現があるが、筆者がそのように言う理由として最も適当なものは、1から5のうちどれか。

「記号」ということばで、私たちはふつうどのようなものを連想するであろうか。一方通行や進入禁止を表す道路標識、プラスやマイナスを表す数学の記号、学校とか山とかの所在を示す地図の標識━━人によって差はあれ、こういったものが平均的なところであろう。もし受験生であったら、「解答は所定の欄に記号で記入せよ」といったような使い方を思い浮かべるかもしれない。選択肢として挙げられている(イ)とか(ロ)、あるいは(a)とか(b)━━それが「記号」である。このような例に代表される「記号」のイメージは、どう見てもあまり良いものではない。つまるところ、「記号」は何かの代用をしているにすぎないという意識があるからである。本当の意味で重要なのはその何かの方であって、「記号」はその何かをまともに持ち出す代わりに、それと一対一に対応させられたものが便宜上使われているだけだ、というわけである。(試験で「論述」式の方が「記号」式よりも十分な評価ができるという発想も、こういうことと無関係ではない。)現代の記号論で「記号」と言う場合は、実はこの種の記号とはほとんど関係ない。この種の記号は、たぶん「記号」というよりはむしろ(あるいは「記号」の中でも)「符号」とでも呼んだ方がよいようなものである。つまり、すでに正確に規定された内容が了承されていて、ただそれをそのまま持ち出す代わりに、もっと扱いやすくてそれと一対一に対応すると了承されているものが使われているというだけのことである。いわば、本当は何かがあるという目印として、同じ場所に便宜上おかれているおはじきみたいなものと言っても良いであろう。例えば、「文化を記号として捉える」というようなことを言うことがあるが、これはもちろん、文化の諸相をこのような意味での(つまり、「符号」と呼んだ方が良いような)「記号」でもって転写してみようというようなことではない。現代の記号論で「記号」ということが考えられる場合は、『いささか逆説的に聞こえるかもしれないが』、むしろ、この種の「符号」と呼ぶのがふさわしいと思われる「記号」を超えていくような営みに、何よりもまず第一に関心が寄せられるのである。(出典 池上嘉彦「『ことば』再発見」)

  1. 「記号」は、それに一対一に対応する内容の便宜的な置き換えであるが、その代用という見方を「符号」として否定することが「逆説的」であるから。
  2. 「文化を記号として捉える」といいながら、文化には多くの在り方(諸相)があるにもかかわらず、それを「記号」と考えないことが、「逆説的」であるから。
  3. 「記号」は「正確に規定された内容」を簡潔に表現できる機能を持つにもかかわらず、その働きが無視されていることが「逆説的」であるから。
  4. 「記号」は、「内容の了承」があるから成立するのであるが、それを「符号」と置き換えているところが、「逆説的」であるから。
  5. 「記号」の在り方・意味を考えるのが記号論であると思えるのに、「記号」を超えて行くような営みに関心を寄せている態度が「逆説的」であるから。

答え.5

問47

政治資金問題に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 選挙権が制限されていた制限選挙のもとでは、選挙費用が少なくてすんだから、有権者の買収が横行することはなかった。
  2. 有権者の増大にともなう政治資金の拡大にもかかわらず、選挙運動期間外での有権者とのコミュニケーション活動に充てられる費用は減少傾向にある。
  3. 第2次世界大戦後まもなく制定された日本の政治資金規正法では、その制定当初、政治資金収支の公開に重点がおかれ、献金額の制限はなかった。
  4. 日本の政治資金規正法は1975年に抜本的に改正されたが、企業や労働組合などの団体からの政治献金に対する規制はそれ以来改正されていない。
  5. 政党の活動の健全な発達を促すことを目的として1994年に政党助成法が制定されたため、政治家の政治資金パーティは姿を消すことになった。

答え.3

問48

日本の国際機構加盟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 日本は、1919年に設立された国際労働機関(ILO)の原加盟国であるが、第2次世界大戦後、国連専門機関となったILOに再加盟したのは、連合諸国との講和条約発効(1952年)後のことである。
  2. 対日講和条約発効をうけて日本はただちに国際連合への加盟申請を行ったが、安全保障理事会での旧ソ連の拒否権によって阻止され、日ソ国交回復共同宣言を経て加盟が承認された。
  3. 国際司法裁判所に関しては、国連未加盟国も国連総会が定めた一定の条件を受諾することによりその当事国になることができるが、日本の場合は、サンフランシスコでの対日講和会議において当事国となることが認められた。
  4. 1961年に発足した経済協力開発機構(OECD)の原加盟国は欧州18か国にアメリカとカナダを加えた20か国であったが、アジアから日本が加盟したのは、東京オリンピック開催後数年たってからのことである。
  5. 日本は、対日講和条約発効後まもなく国際通貨基金(IMF)に加盟したが、その当時は経常取引の為替制限が行われていたため常任理事国には選出されず、いわゆる8条国移行(1964年4月)を待って常任理事国となった。

答え.2

問49 改題

次の5つの物件(a~e)はユネスコの「世界遺産リスト」に登録されている世界遺産である。このうち、欧州連合(European Union)の加盟国に所在するものは、いくつあるか(2013年1月現在)。
a、オリンピアの遺跡
b、バイカル湖
c、ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター大寺院と聖マーガレット教会
d、ベルン旧市街
e、パリのセーヌ河岸

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

答え.3

aギリシャ(加盟国)に所在する。
bロシア(未加盟)に所在する。
cイギリス(加盟国)に所在する。
dスイス(未加盟)に所在する。
eフランス(加盟国)に所在する。

ロシア、スイス、トルコ、ノルウェーがまだ未加盟

問50

第三セクターに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 日本でいう第三セクターとは、いわゆる官民共同出資で、株式会社形態のもののみを指し、その歴史は太平洋戦争以前にさかのぼる。
  2. 第三セクターという言葉が日本政府の公式文書で初めて用いられたのは、1960年代の池田内閣における所得倍増計画の中であった。
  3. 第三セクターも公共のサービスの供給に従事するのだから、地方自治体が50%以上出資する第三セクターの職員にはすべて地方公務員法が適用される。
  4. 第三セクターは、もともと公共部門と私的部門が重なり合った部門のことであり、地方自治体が経営する公営企業がその典型例である。
  5. 公共部門でも私的部門でもない第三の部門を第三セクターとすれば、NPOやNGOをそこに含めてとらえることができる。

答え.5

問51

介護保険に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 20歳の大学生が自ら運転を誤って車ごと谷に転落し、介護を要することとなった場合に、その介護については介護保険の適用がある。
  2. 会社に勤めている50歳の人も70歳の自営業者も、ともに、その居住する市区町村に対し、直接に介護保険料を納付しなければならない。
  3. 介護保険は、法律に基づく全国一律の制度であり、負担水準は全国で等しいことが要請されるので、介護保険料も法律により全国一律の金額が定められている。
  4. 要介護者に認定された者は、要介護の程度に応じた介護サービスを無料で受けることができる。
  5. 介護保険法上の保険者は市町村および特別区であるが、都道府県は市町村の介護保険財政の安定化のために財政安定化基金を設けている。

答え.5

問52

地方公共団体の財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 公債費は、個別の地方公共団体の特別の事情により発行した地方債を償還するためのものであるから、経常収支比率を算定する際の経常経費に算入されない。
  2. 普通交付税は、国に依存する財源であるので、経常収支比率を算定する際の経常一般財源に算入されない。
  3. 公債費比率とは、公債費に充当した一般財源が公債収入総額に占める割合をいい、財政構造の硬直度を判断する尺度として利用される。
  4. 地方公共団体の財政力を示す指数としての財政力指数は、基準財政収入額を基準財政需要額で除した数値で、通常は過去3か年の平均値が用いられる。
  5. 地方交付税算定における基準財政収入額には、その地方公共団体が標準的に見込まれる税収入額の全額が算入される。

答え.4

問53

予算編成に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. ゼロ・ベース予算とは、前年度の予算額と同額を維持することにより財政規模の拡大を抑制する予算編成の手法である。
  2. 予算編成における増分主義とは、前年度予算に対して必ず一定比率の予算額の増大を保証することによって、国家活動の安定的な発展を図る手法である。
  3. 予算編成におけるシーリング方式とは、歳出規模の抑制を図るために、予算要求について限度枠を設けることによって、予算要求をなす側自体に一定の絞り込みを事前に行わせる方式である。
  4. 予算編成におけるPPBSとは、それぞれの省庁別の目標を設定することを断念し、各組織を横断する統一的な国家目標を設定して、政府全体としての費用・便益分析を行うものであって、政府の歳出予算総額の抑制を目的としている。
  5. 予算編成におけるサンセット方式とは、所定の年度までは見直しをせずに安定的に予算を確保するための手法である。

答え.3

問54

日本の廃棄物処理およびリサイクルに関する法制度についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 一般廃棄物について国内処理の原則は採用されておらず、一般廃棄物の輸入および輸出は自由である。
  2. 産業廃棄物の処理については「府県内処理の原則」が採用されているので、都道府県境を越える産業廃棄物の移動は原則として禁止されている。
  3. 特定家庭用機器の小売販売業者は、特定家庭用機器の廃棄物を排出する者からその引取りを求められても、代替の家庭用機器の購入と引き換えの場合以外は断ることができる。
  4. 容器包装廃棄物の分別収集が進められているが、事業者に対する再商品化の義務づけはいまだ実現していない。
  5. 特定建設資材を用いた建築物等にかかる解体工事の受注者は、分別解体をし、特定建設資材廃棄物の再資源化をしなければならない。

答え.5

問55

次の記述のうち、ケインズ経済学の考え方として知られているものはどれか。

  1. 家計の消費支出の変動の決定要因は、その時々の可処分所得ではなく、現在から将来にかけて稼ぐことができる可処分所得の平均値としての「恒常所得」である。
  2. 供給はそれ自らの需要を決定する。これは生産物は生産物によってのみ買われることを意味するので、実質国民所得も経済の総供給のみによって決定される。
  3. 一国の経済全体の貨幣需要は、その国における取引総額が増加すれば増加し、市場利子率が上昇すれば減少する。したがって、一国の取引総額はその国の国民所得と密接に関係することから、貨幣需要は国民所得と利子率の関数として表現される。
  4. 公共・不況の景気指数は、貨幣供給の変動が予期されないインフレ・デフレを生み、それが家計や企業の行動をかく乱することで生産や失業、投資などに影響をあたえることによって生ずる。
  5. 公債は現在の課税を将来にくりのべたものにすぎないから、政府支出の財源を公債によってまかなうか租税によってまかなうかの選択は、マクロ経済効果には何らの影響もあたえない中立的なものである。

答え.3

問56

行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(いわゆる行政手続オンライン化法)についての次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. この法律により、利益を付与する処分についてはオンラインで処分通知をすることが可能になったが、不利益処分については、従来どおり書面による通知が必要である。
  2. この法律により、個別の法律で書面による縦覧を必要としている場合について、2年以内に個別の法律を改正して、オンラインによる縦覧に代えることができるようになった。
  3. この法律により、個別の法律で書面による申請を必要とされている場合でも、主務省令の定めによりオンライン申請をすることができるようになった。
  4. この法律は、行政機関と私人の関係にかかる書面による手続について定めているものであり、行政機関間の書面手続の電子化については、別の法令によりオンライン化を進行させることが予定されている。
  5. この法律は、国家行政機関の書面による行政手続のオンライン化について定めたものであり、地方公共団体の書面による行政手続のオンライン化については、地方公共団体の条例により定めるべきこととされた。

答え.3

問57

インターネットについての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. TCP/IPプロトコルによるインターネットが個人間の通信において急速な広がりを見せているが、企業の内部における通信はTCP/IPを使うことがまずなく、その違いが通信需要の拡大の障害になっている。
  2. 最近、ケーブルテレビの回線を利用するADSLの方式により、ブロードバンドインターネット回線の普及が急速に進んでいる。
  3. インターネットは国境を超えて流される通信であることから、使用言語は原則として英語が用いられ、日本語を用いることは仕様上できない。
  4. 個人がインターネットを利用する場合においては、原則としてプロバイダという電気通信事業者のサービスを受けて行う。
  5. ホームページのアドレスであるドメインネームを取得するためには、原則として経済産業大臣の許可が必要である。

答え.4

まちがい報告

誤字脱字、読み違い等ありましたらコチラへお願い致します。


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