刑事訴訟法

第16章 費用の補償


第百八十八条の二(無罪判決と費用の補填)
無罪の判決が確定したときは、国は、当該事件の被告人であった者に対し、その裁判に要した費用の補償をする。ただし、被告人であった者の責めに帰すべき事由によって生じた費用については、補償をしないことができる。
2 被告人であった者が、捜査又は審判を誤らせる目的で、虚偽の自白をし、又は他の有罪の証拠を作ることにより、公訴の提起を受けるに至ったものと認められるときは、前項の補償の全部又は一部をしないことができる。
3 第百八十八条の五第一項(上訴費用の補償の請求)の規定による補償の請求がされている場合には、第百八十八条の四(上訴費用の補填)の規定により補償される費用については、第一項の補償をしない。

第百八十八条の三(補償の手続)
前条第一項の補償は、被告人であった者の請求により、無罪の判決をした裁判所が、決定をもってこれを行う。
2 前項の請求は、無罪の判決が確定した後六箇月以内にこれをしなければならない。
3 補償に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百八十八条の四(上訴費用の補填)
検察官のみが上訴をした場合において、上訴が棄却され又は取り下げられて当該上訴に係る原裁判が確定したときは、これによって無罪の判決が確定した場合を除き、国は、当該事件の被告人又は被告人であった者に対し、上訴によりその審級において生じた費用の補償をする。ただし、被告人又は被告人であった者の責めに帰すべき事由によって生じた費用については、補償をしないことができる。

第百八十八条の五(補償の手続)
前条の補償は、被告人又は被告人であった者の請求により、当該上訴裁判所であった最高裁判所又は高等裁判所が、決定をもってこれを行う。
2 前項の請求は、当該上訴に係る原裁判が確定した後二箇月以内にこれをしなければならない。
3 補償に関する決定で高等裁判所がしたものに対しては、第四百二十八条第二項(抗告に代わる異議申立て)の異議の申立てをすることができる。この場合には、即時抗告に関する規定をも準用する。

第百八十八条の六(補償費用の範囲)
第百八十八条の二第一項(無罪判決と費用の補填)又は第百八十八条の四(上訴費用の補填)の規定により補償される費用の範囲は、被告人若しくは被告人であった者又はそれらの者の弁護人であった者が公判準備及び公判期日に出頭するに要した旅費、日当及び宿泊料並びに弁護人であった者に対する報酬に限るものとし、その額に関しては、刑事訴訟費用に関する法律の規定中、被告人又は被告人であった者については証人、弁護人であった者については弁護人に関する規定を準用する。
2 裁判所は、公判準備又は公判期日に出頭した弁護人が二人以上あったときは、事件の性質、審理の状況その他の事情を考慮して、前項の弁護人であった者の旅費、日当及び宿泊料を主任弁護人その他一部の弁護人に係るものに限ることができる。

第百八十八条の七(刑事補償法の例)
補償の請求その他補償に関する手続、補償と他の法律による損害賠償との関係、補償を受ける権利の譲渡又は差押え及び被告人又は被告人であった者の相続人に対する補償については、この法律に特別の定めがある場合のほか、刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)第一条(補償の要件)に規定する補償の例による。

第十五章 訴訟費用

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