第2章 船長(第705条~第736条)

令和2年4月1日施行版を更新しました。商法/第685条~第850条

商法もくじ

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第705条(職務上の注意責任)

  1. 船長は其職務を行うに付き、注意を怠らさりしことを証明するに非ざれば、船舶所有者、傭船者、荷送人其他の利害関係人に対して損害賠償の責を免るることを得ず。
  2. 船長は、船舶所有者の指図に従いたるときと雖も船舶所有者以外の者に対しては前項に定めたる責任を免るることを得ず。

第706条(海員監督の責任)

  • 海員が其職務を行うに当たり、他人に損害を加えたる場合に於て船長は、監督を怠らさりしことを証明するに非ざれば、損害賠償の責を免るることを得ず。

第707条(代船長選任の責任)

  • 船長が已むことを得ざる事由に因りて、自ら船舶を指揮すること能はざるときは、法令に別段の定ある場合を除く外、他人を選任して自己の職務を行はしむることを得。此場合に於ては船長は、其選任に付き船舶所有者に対して其責に任ず。


第708条(堪航能力検査義務) 削除 (昭和22法100)


第709条(船舶書類備置義務)

  1. 船長は、属具目録及び運送契約に関する書類を船中に備へ置くことを要す。
  2. 前項の属具目録は、外国に航行せさる船舶に限り国土交通省令を以て、之を備ふることを要せさるものと定めることを得。


第710条(在船義務) 削除 (昭和22法100)


第711条(航海成就義務) 削除 (昭和22法100)


第712条(利害関係人のための積荷処分)

  1. 船長は、航海中最も利害関係人の利益に適すべき方法に依りて、積荷の処分を為すことを要す。
  2. 利害関係人は、船長の行為に因り其積荷に付て生じたる債権の為め之を債権者に委付して其責を免るることを得。但、利害関係人に過失ありたるときは此限に在らず。

第713条(代理権の範囲)

  1. 船籍港外に於ては、船長は航海の為めに必要なる一切の裁判上又は裁判外の行為を為す権限を有す。
  2. 船籍港に於ては船長は、特に委任を受けたる場合を除く外、海員の雇入及び雇止を為す権限のみを有す。

第714条(代理権に加えた制限)

  • 船長の代理権に加えたる制限は、之を以て善意の第三者に対抗することを得ず。

第715条(特定の行為の制限と許容)

  1. 船長は船舶の修繕費、救助料其他航海を継続するに必要なる費用を支弁する為めに非ざれば、左に掲けたる行為を為すことを得ず。
    一. 船舶を抵当と為すこと
    二. 借財を為すこと
    三. 積荷の全部又は一部を売却又は質入すること但、第712条第1項(積荷の処分)の場合は此限に在らず。
  2. 船長が積荷を売却又は質入したる場合に於ける損害賠償の額は、其積荷の到達すへかりし時に於ける陸揚港の価格に依りて、之を定め、但、其価格中より支払うことを要せさりし費用を控除することを要す。


第716条(事務管理と船舶所有者の委付) 削除 (昭和56法94)


第717条(船舶競売の権限)

  • 船籍港外に於て、船舶が修繕すること能はざるに至りたるときは、船長は、管海官庁の認可を得て、之を競売することを得。

第718条(相対的修繕不能)

  1. 左の場合に於ては船舶は、修繕すること能はざるに至りたるものと看做す。
    一. 船舶が其現在地に於て、修繕を受くること能はす。且其修繕を為すべき地に到ること能はさるとき。
    二. 修繕費が、船舶の価額の四分の三に超ゆるとき。
  2. 前項第二号の価額は、船舶が航海中毀損したる場合に於ては、其発航の時に於ける価額とし其他の場合に於ては、其毀損前に有せし価額とす。

第719条(航海継続のための積荷使用)

  • 船長は航海を継続する為め必要なるときは、積荷を航海の用に供することを得。此場合に於ては、第715条第2項(損害賠償額)の規定を準用す。

第720条(報告及び計算の義務)

  1. 船長は、遅滞なく、航海に関する重要なる事項を、船舶所有者に報告することを要す。
  2. 船長は毎航海の終に於て、遅滞なく、其航海に関する計算を為して船舶所有者の承認を求め、又船舶所有者の請求あるときは、何時にでも計算の報告を為すことを要す。

第721条(解任)

  1. 船舶所有者は、何時にても船長を解任することを得。但、正当の理由なくして之を解任したるときは、船長は、船舶所有者に対し解任に因りて生じたる損害の賠償を請求することを得。
  2. 船長が船舶共有者なる場合に於て、其意に反して解任せられたるときは、他の共有者に対し相当代価を以て、自己の持分を買取るべきことを請求することを得。
  3. 船長が前項の請求を為さんと欲するときは、遅滞なく、他の共有者又は船舶管理人に対して其通知を発することを要す。

第722条~第736条(船長の船舶所有者に対する債権の時効、海員) 削除 (昭和12法79、平成17年87)


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