第7章 船舶債権者(第842条~第851条)

令和2年4月1日施行版を更新しました。商法/第685条~第850条

商法もくじ

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第842条(船舶先取特権-船舶債権)

  • 左に掲げたる債権を有する者は、船舶、其属具及び未だ受取らざる運送賃の上に先取特権を有す。
    一. 船舶並に其属具の競売に関する費用及び競売手続開始後の保存費
    二. 最後の港に於ける船舶及び其属具の保存費
    三. 航海に関し船舶に課したる諸税
    四. 水先案内料及び挽船料
    五. 救助料及び船舶の負担に属する共同海損
    六. 航海継続の必要に因りて生じたる債権
    七. 雇傭契約に因りて生じたる船長其他の船員の債権
    八. 船舶が其売買又は製造の後、未だ航海を為さざる場合に於て、其売買又は製造並に艤装に因りて生じたる債権及び最後の航海の為めにする船舶の艤装、食料並に燃料に関する債権

第843条(同前-目的ある運送費)

  • 船舶債権者の先取特権は、運送賃に付ては其先取特権の生じたる航海に於ける運送賃の上にのみ存在す。

第844条(同前-順位)

  1. 船舶債権者の先取特権が互に競合する場合に於ては、其優先権の順位は、第842条(船舶先取特権-船舶債権)に掲けたる順序に従ふ、但、同条第四号(水先案内料及び挽船料)乃至第六号(航海継続の必要に因りて生じたる債権)の債権間に在りては、後に生じたるもの前に生じたるものに先つ
  2. 同一順位の先取特権者数人あるときは、各其債権額の割合に応じて弁済を受く、但、第842条第四号(水先案内料及び挽船料)乃至第六号(航海継続の必要に因りて生じたる債権)の債権が同時に生ぜさりし場合に於ては、後に生じたるもの前に生じたるものに先つ。
  3. 先取特権が数回の航海に付て生じたる場合に於ては、前二項の規定に拘はらず、後の航海に付て生じたるもの、前の航海に付て生じたるものに先つ。

第845条(同前-他の先取特権に優先)

  • 船舶債権者の先取特権と他の先取特権と競合する場合に於ては、船舶債権者の先取特権は他の先取特権に先つ。

第846条(同前-追求性の除斥方法)

  1. 船舶所有者が、其船舶を譲渡したる場合に於ては譲受人は、其譲渡を登記したる後、先取特権者に対し一定の期間内に其債権の申出を為すべき旨を公告することを要す。但、其期間は一个月を下ることを得ず。
  2. 先取特権者が前項の期間内に其債権の申出を為ささりしときは其先取特権は消滅す。

第847条(同前-特別の消滅原因)

  1. 船舶債権者の先取特権は、其発生後一年を経過したるときは消滅す。
  2. 第842条第八号(船舶の売買又は製造後航海前の債権)の先取特権は、船舶の発航に因りて消滅す。

第848条(船舶抵当権)

  1. 登記したる船舶は、之を以て抵当権の目的と為すことを得。
  2. 船舶の抵当権は、其属具に及ぶ。
  3. 船舶の抵当権には、不動産の抵当権に関する規定を準用す、此場合に於ては民法第384条第1号(債権者のみなし承諾) 中「抵当権を実行して競売の申立てをしないとき」とあるは「抵当権の実行としての競売の申立て、若しくはその提供を承諾しない旨の第三取得者に対する通知をせず、又はその通知をした債権者が抵当権の実行としての競売の申立てをすることができるに至った後一週間以内にこれをしないとき」と読替えるものとす。

第849条(先取特権と抵当権との関係)

  • 船舶の先取特権は、抵当権に先じて之を行うことを得。

第850条(登記船舶の質入禁止)

  • 登記したる船舶は、之を以て質権の目的と為すことを得ず。

第851条(製造中の船舶に対する準用)

  • 本章の規定は、製造中の船舶に之を準用す。

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