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第3章 職員に適用される基準

第1節 通則

第27条 (平等取扱の原則)
すべて国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分、門地又は第38条第5号に規定する場合を除くの外政治的意見若しくは政治的所属関係によって、差別されてはならない。

第27条の二'' (人事管理の原則)
職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次、合格した採用試験の種類及び第61条の9第2項第二号に規定する課程対象者であるか否か又は同号に規定する課程対象者であったか否かにとらわれてはならず、この法律に特段の定めがある場合を除くほか、人事評価に基づいて適切に行われなければならない。

第28条 (情勢適応の原則)
この法律及び他の法律に基づいて定められる職員の給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない。
人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。

第29条 削除

第30条 削除

第31条 削除

第32条 削除

第2節 採用試験及び任免

第33条 (任免の根本基準)
職員の任用は、この法律の定めるところにより、その者の受験成績、人事評価又はその他の能力の実証に基づいて行わなければならない。
前項に規定する根本基準の実施に当たっては、次に掲げる事項が確保されなければならない。
職員の公正な任用
行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用
職員の免職は、法律に定める事由に基づいてこれを行わなければならない。
第1項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であって第2項第一号に掲げる事項の確保に関するもの及び前項に規定する根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定めのあるものを除いては、人事院規則でこれを定める。

第33条の2
第54条第1項に規定する採用昇任等基本方針には、前条第1項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であって同条第2項第二号に掲げる事項の確保に関するものとして、職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用の確保に資する基本的事項を定めるものとする。

第1款 通則

第34条 (定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
採用 職員以外の者を官職に任命すること(臨時的任用を除く。)をいう。
昇任 職員をその職員が現に任命されている官職より上位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。
降任 職員をその職員が現に任命されている官職より下位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。
転任 職員をその職員が現に任命されている官職以外の官職に任命することであって前二号に定めるものに該当しないものをいう。
標準職務遂行能力 職制上の段階の標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として内閣総理大臣が定めるものをいう。
幹部職員 内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第五十条 若しくは国家行政組織法第六条 に規定する長官、同法第十八条第一項 に規定する事務次官若しくは同法第二十一条第一項 に規定する局長若しくは部長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であって政令で定めるもの(以下「幹部職」という。)を占める職員をいう。
管理職員 国家行政組織法第二十一条第一項 に規定する課長若しくは室長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であって政令で定めるもの(以下「管理職」という。)を占める職員をいう。
前項第五号の標準的な官職は、係員、係長、課長補佐、課長その他の官職とし、職制上の段階及び職務の種類に応じ、政令で定める。

第35条 (欠員補充の方法)
官職に欠員を生じた場合においては、その任命権者は、法律又は人事院規則に別段の定のある場合を除いては、採用、昇任、降任又は転任のいずれか一の方法により、職員を任命することができる。但し、人事院が特別の必要があると認めて任命の方法を指定した場合は、この限りではない。

第36条 (採用の方法)
職員の採用は、競争試験によるものとする。ただし、係員の官職(第34条第2項に規定する標準的な官職が係員である職制上の段階に属する官職その他これに準ずる官職として人事院規則で定めるものをいう。第45条の2第1項において同じ。)以外の官職に採用しようとする場合又は人事院規則で定める場合には、競争試験以外の能力の実証に基づく試験(以下「選考」という。)の方法によることを妨げない。

第37条 削除

第38条 (欠格条項)
次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則の定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
成年被後見人又は被保佐人
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
人事院の人事官又は事務総長の職にあって、第109条から第112条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
日本国憲法 施行の日以後において、日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

第39条 (人事に関する不法行為の禁止)
何人も、次の各号のいずれかに該当する事項を実現するために、金銭その他の利益を授受し、提供し、要求し、若しくは授受を約束したり、脅迫、強制その他これに類する方法を用いたり、直接たると間接たるとを問わず、公の地位を利用し、又はその利用を提供し、要求し、若しくは約束したり、あるいはこれらの行為に関与してはならない。
退職若しくは休職又は任用の不承諾
採用のための競争試験(以下「採用試験」という。)若しくは任用の志望の撤回又は任用に対する競争の中止
任用、昇給、留職その他官職における利益の実現又はこれらのことの推薦

第40条 (人事に関する虚偽行為の禁止)
何人も、採用試験、選考、任用又は人事記録に関して、虚偽又は不正の陳述、記載、証明、採点、判断又は報告を行ってはならない。

第41条 (受験又は任用の阻害及び情報提供の禁止)
試験機関に属する者その他の職員は、受験若しくは任用を阻害し、又は受験若しくは任用に不当な影響を与える目的を以て特別若しくは秘密の情報を提供してはならない。

第2款 採用試験

第42条 (採用試験の実施)
採用試験は、この法律に基づく命令で定めるところにより、これを行う。

第43条 (受験の欠格条項)
第44条に規定する資格に関する制限の外、官職に就く能力を有しない者は、受験することができない。

第44条 (受験の資格要件)
人事院は、人事院規則により、受験者に必要な資格として官職に応じ、その職務の遂行に欠くことのできない最小限度の客観的且つ画一的な要件を定めることができる。

第45条 (採用試験の内容)
採用試験は、受験者が、当該採用試験に係る官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該採用試験に係る官職についての適性を有するかどうかを判定することをもってその目的とする。

第45条の2 (採用試験における対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材)
採用試験は、次に掲げる官職を対象として行うものとする。
係員の官職のうち、政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする官職その他これらに類する官職であって政令で定めるもの(第三号に掲げるものを除く。)
定型的な事務をその職務とする係員の官職その他の係員の官職(前号及び次号に掲げるものを除く。)
係員の官職のうち、特定の行政分野に係る専門的な知識を必要とする事務をその職務とする官職として政令で定めるもの
係員の官職より上位の職制上の段階に属する官職のうち、民間企業における実務の経験その他これに類する経験を有する者を採用することが適当なものとして政令で定めるもの
採用試験の種類は、次に掲げるとおりとする。
総合職試験(前項第一号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であって、一定の範囲の知識、技術その他の能力(以下この項において「知識等」という。)を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験
一般職試験(前項第二号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であって、一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験
専門職試験(前項第三号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であって、同号に規定する特定の行政分野に応じて一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験
経験者採用試験(前項第四号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であって、同号に規定する職制上の段階その他の官職に係る分類に応じて一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験
採用試験により確保すべき人材に関する事項は、前項各号に掲げる採用試験の種類ごとに、政令で定める。
前三項の政令は、人事院の意見を聴いて定めるものとする。

第45条の3 (採用試験の方法等)
採用試験の方法、試験科目、合格者の決定の方法その他採用試験に関する事項については、この法律に定めのあるものを除いては、前条第2項各号に掲げる採用試験の種類に応じ、人事院規則で定める。

第46条 (採用試験の公開平等)
採用試験は、人事院規則の定める受験の資格を有するすべての国民に対して、平等の条件で公開されなければならない。

第47条 (採用試験の告知)
採用試験の告知は、公告によらなければならない。
前項の告知には、その採用試験に係る官職についての職務及び責任の概要及び給与、受験の資格要件、採用試験の時期及び場所、願書の入手及び提出の場所、時期及び手続その他の必要な受験手続並びに人事院が必要と認めるその他の注意事項を記載するものとする。
第一項の規定による公告は、人事院規則の定めるところにより、受験の資格を有するすべての者に対し、受験に必要な事項を周知させることができるように、これを行わなければならない。
人事院は、受験の資格を有すると認められる者が受験するように、常に努めなければならない。
人事院は、公告された採用試験又は実施中の採用試験を、取り消し又は変更することができる。

第48条 (試験機関)
採用試験は、人事院規則の定めるところにより、人事院の定める試験機関が、これを行う。

第49条 (採用試験の時期及び場所)
採用試験の時期及び場所は、国内の受験資格者が、無理なく受験することができるように、これを定めなければならない。

第3款 採用候補者名簿

第50条 (名簿の作成)
採用試験による職員の採用については、人事院規則の定めるところにより、採用候補者名簿を作成するものとする。

第51条 (採用候補者名簿に記載される者)
採用候補者名簿には、当該官職に採用することができる者として、採用試験において合格点以上を得た者の氏名及び得点を記載するものとする。

第52条 (名簿の閲覧)
採用候補者名簿は、受験者、任命権者その他関係者の請求に応じて、常に閲覧に供されなければならない。

第53条 (名簿の失効)
採用候補者名簿が、その作成後一年以上を経過したとき、又は人事院の定める事由に該当するときは、いつでも、人事院は、任意に、これを失効させることができる。

第4款 任用

第54条 (採用昇任等基本方針)
内閣総理大臣は、公務の能率的な運営を確保する観点から、あらかじめ、次条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者と協議して職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用を確保するための基本的な方針(以下「採用昇任等基本方針」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
採用昇任等基本方針には、第33条の2に規定する基本的事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。
職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用に関する基本的な指針
第56条の採用候補者名簿による採用及び第57条の選考による採用に関する指針
第58条の昇任及び転任に関する指針
管理職への任用に関する基準その他の指針
任命権者を異にする官職への任用に関する指針
職員の公募(官職の職務の具体的な内容並びに当該官職に求められる能力及び経験を公示して、当該官職の候補者を募集することをいう。次項において同じ。)に関する指針
官民の人材交流に関する指針
子の養育又は家族の介護を行う職員の状況を考慮した職員の配置その他の措置による仕事と生活の調和を図るための指針
前各号に掲げるもののほか、職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用を確保するために必要な事項
前項第六号の指針を定めるに当たっては、犯罪の捜査その他特殊性を有する職務の官職についての公募の制限に関する事項その他職員の公募の適正を確保するために必要な事項に配慮するものとする。
内閣総理大臣は、第一項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、採用昇任等基本方針を公表しなければならない。
第一項及び前項の規定は、採用昇任等基本方針の変更について準用する。
任命権者は、採用昇任等基本方針に沿って、職員の採用、昇任、降任及び転任を行わなければならない。

第55条 (任命権者)
任命権は、法律に別段の定めのある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は、その部内の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関(内閣府を除く。)に属する官職に限られる。ただし、外局の長(国家行政組織法第七条第五項 に規定する実施庁以外の庁にあっては、外局の幹部職)に対する任命権は、各大臣に属する。
前項に規定する機関の長たる任命権者は、幹部職以外の官職(内閣が任命権を有する場合にあっては、幹部職を含む。)の任命権を、その部内の上級の国家公務員
(内閣が任命権を有する幹部職にあっては、内閣総理大臣又は国務大臣)に限り委任することができる。この委任は、その効力が発生する日の前に、書面をもって、これを人事院に提示しなければならない。
この法律、人事院規則及び人事院指令に規定する要件を備えない者は、これを任命し、雇用し、昇任させ若しくは転任させてはならず、又はいかなる官職にも配置してはならない。

第56条 (採用候補者名簿による採用)
採用候補者名簿による職員の採用は、任命権者が、当該採用候補者名簿に記載された者の中から、面接を行い、その結果を考慮して行うものとする。

第57条 (選考による採用)
選考による職員の採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)は、任命権者が、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。

第58条 (昇任、降任及び転任)
職員の昇任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)は、任命権者が、職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
任命権者は、職員を降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)には、当該職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる官職に任命するものとする。
国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により、人事評価が行われていない職員の昇任、降任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)については、前二項の規定にかかわらず、任命権者が、人事評価以外の能力の実証に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を判断して行うことができる。

第59条 (条件附任用期間)
一般職に属するすべての官職に対する職員の採用又は昇任は、すべて条件附のものとし、その職員が、その官職において六月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなるものとする。
条件附採用に関し必要な事項又は条件附採用期間であって六月をこえる期間を要するものについては、人事院規則でこれを定める。

第60条(臨時的任用)
任命権者は、人事院規則の定めるところにより、緊急の場合、臨時の官職に関する場合又は採用候補者名簿がない場合には、人事院の承認を得て、六月を超えない任期で、臨時的任用を行うことができる。この場合において、その任用は、人事院規則の定めるところにより人事院の承認を得て、六月の期間で、これを更新することができるが、再度更新することはできない。
人事院は、臨時的任用につき、その員数を制限し、又は、任用される者の資格要件を定めることができる。
人事院は、前二項の規定又は人事院規則に違反する臨時的任用を取り消すことができる。
臨時的任用は、任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。
前各項に定めるもののほか、臨時的に任用された者に対しては、この法律及び人事院規則を適用する。

第5款 休職、復職、退職及び免職

第61条 (休職、復職、退職及び免職)
職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。

第6款 幹部職員の任用等に係る特例

第61条の2 (適格性審査及び幹部候補者名簿)
内閣総理大臣は、次に掲げる者について、政令で定めるところにより、幹部職(自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第三十条の二第一項第六号 に規定する幹部職を含む。以下この条において同じ。)に属する官職(同項第二号 に規定する自衛官以外の隊員が占める職を含む。次項及び第61条の十一において同じ。)に係る標準職務遂行能力(同法第三十条の二第一項第五号 に規定する標準職務遂行能力を含む。次項において同じ。)を有することを確認するための審査(以下「適格性審査」という。)を公正に行うものとする。
幹部職員(自衛隊法第三十条の二第一項第六号 に規定する幹部隊員を含む。以下この項及び第61条の九第一項において同じ。)
幹部職員以外の者であって、幹部職の職責を担うにふさわしい能力を有すると見込まれる者として任命権者(自衛隊法第三十一条第一項 の規定により同法第二条第五項 に規定する隊員(以下「自衛隊員」という。)の任免について権限を有する者を含む。第3項及び第4項、第61条の6並びに第61条の11において同じ。)が内閣総理大臣に推薦した者
前二号に掲げる者に準ずる者として政令で定める者
内閣総理大臣は、適格性審査の結果、幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力を有することを確認した者について、政令で定めるところにより、氏名その他政令で定める事項を記載した名簿(以下「幹部候補者名簿」という。)を作成するものとする。
内閣総理大臣は、任命権者の求めがある場合には、政令で定めるところにより、当該任命権者に対し、幹部候補者名簿を提示するものとする。
内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、定期的に、及び任命権者の求めがある場合その他必要があると認める場合には随時、適格性審査を行い、幹部候補者名簿を更新するものとする。
内閣総理大臣は、前各項の規定による権限を内閣官房長官に委任する。
第一項各号列記以外の部分及び第2項から第四項までの政令は、人事院の意見を聴いて定めるものとする。

第61条の3 (幹部候補者名簿に記載されている者の中からの任用)
選考による職員の採用であって、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であって、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
職員の昇任及び転任であって、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であって、職員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている職員の降任であって、幹部職への任命に該当するものを行う場合には、当該職員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる幹部職に任命するものとする。
国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により人事評価が行われていない職員のうち、幹部候補者名簿に記載されている者の昇任、降任又は転任であって、幹部職への任命に該当するものについては、任命権者が、前二項の規定にかかわらず、人事評価以外の能力の実証に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を判断して行うことができる。

第61条の4 (内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議に基づく任用等)
任命権者は、職員の選考による採用、昇任、転任及び降任であって幹部職への任命に該当するもの、幹部職員の幹部職以外の官職への昇任、転任及び降任並びに幹部職員の退職(政令で定めるものに限る。第四項において同じ。)及び免職(以下この条において「採用等」という。)を行う場合には、政令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとする。
前項の場合において、災害その他緊急やむを得ない理由により、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議する時間的余裕がないときは、任命権者は、同項の規定にかかわらず、当該協議を行うことなく、職員の採用等を行うことができる。
任命権者は、前項の規定により職員の採用等を行った場合には、内閣総理大臣及び内閣官房長官に通知するとともに、遅滞なく、当該採用等について、政令で定めるところにより、内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議し、当該協議に基づいて必要な措置を講じなければならない。
内閣総理大臣又は内閣官房長官は、幹部職員について適切な人事管理を確保するために必要があると認めるときは、任命権者に対し、幹部職員の昇任、転任、降任、退職及び免職(以下この項において「昇任等」という。)について協議を求めることができる。この場合において、協議が調ったときは、任命権者は、当該協議に基づいて昇任等を行うものとする。

第61条の5 (管理職への任用に関する運用の管理)
任命権者は、政令で定めるところにより、定期的に、及び内閣総理大臣の求めがある場合には随時、管理職への任用の状況を内閣総理大臣に報告するものとする。
内閣総理大臣は、第54条第2項第四号の基準に照らして必要があると認める場合には、任命権者に対し、管理職への任用に関する運用の改善その他の必要な措置をとることを求めることができる。

第61条の6 (任命権者を異にする管理職への任用に係る調整)
内閣総理大臣は、任命権者を異にする管理職(自衛隊法第三十条の二第一項第七号 に規定する管理職を含む。)への任用の円滑な実施に資するよう、任命権者に対する情報提供、任命権者相互間の情報交換の促進その他の必要な調整を行うものとする。

第61条の7 (人事に関する情報の管理)
内閣総理大臣は、この款及び次款の規定の円滑な運用を図るため、内閣府、各省その他の機関に対し、政令で定めるところにより、当該機関の幹部職員、管理職員、第61条の9第2項第二号に規定する課程対象者その他これらに準ずる職員として政令で定めるものの人事に関する情報の提供を求めることができる。
内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、前項の規定により提出された情報を適正に管理するものとする。

第61条の8 (特殊性を有する幹部職等の特例)
法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣法制局及び内閣府を除く。以下この項において「内閣の直属機関」という。)、人事院、検察庁及び会計検査院の官職(当該官職が内閣の直属機関に属するものであって、その任命権者が内閣の委任を受けて任命権を行う者であるものを除く。)については、第61条の二から第61条の五までの規定は適用せず、第57条、第58条及び前条第1項の規定の適用については、第57条中「採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「採用」と、第58条第1項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、同条第2項中「降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)」とあるのは「降任させる場合」と、同条第3項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、前条第一項中「、政令」とあるのは「、当該機関の職員が適格性審査を受ける場合その他の必要がある場合として政令で定める場合に限り、政令」とする。
警察庁の官職については、第61条の2、第61条の3、第61条の4第4項及び第61条の5の規定は適用せず、第57条、第58条、第61条の4第1項から第3項まで及び前条第1項の規定の適用については、第57条中「採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「採用」と、第58条第1項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、同条第2項中「降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)」とあるのは「降任させる場合」と、同条第3項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、第61条の四第一項中「に協議した上で、当該協議に基づいて行う」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあっては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知するものとする。この場合において、内閣総理大臣及び内閣官房長官は、任命権者(任命権者が警察庁長官である場合にあっては、国家公安委員会を通じて任命権者)に対し、当該幹部職に係る標準職務遂行能力を有しているか否かの観点から意見を述べることができる」と、同条第2項中「に協議する」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあっては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知する」と、「当該協議」とあるのは「当該通知」と、同条第3項中「内閣総理大臣及び内閣官房長官に通知するとともに、遅滞なく」とあるのは「遅滞なく」と、「に協議し、当該協議に基づいて必要な措置を講じなければならない」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあっては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知しなければならない。この場合において、内閣総理大臣及び内閣官房長官は、任命権者(任命権者が警察庁長官である場合にあっては、国家公安委員会を通じて任命権者)に対し、当該幹部職に係る標準職務遂行能力を有しているか否かの観点から意見を述べることができるものとする」と、前条第一項中「、政令」とあるのは「、当該機関の職員が適格性審査を受ける場合その他の必要がある場合として政令で定める場合に限り、政令」とする。
内閣法制局、宮内庁、外局として置かれる委員会(政令で定めるものを除く。)及び国家行政組織法第七条第五項 に規定する実施庁の幹部職(これらの機関の長を除く。)については、第61条の4第4項の規定は適用せず、同条第1項及び第3項の規定の適用については、同条第一項中「内閣総理大臣」とあるのは「任命権者の属する機関に係る事項についての内閣法 (昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣(第3項において単に「主任の大臣」という。)を通じて内閣総理大臣」と、同条第3項中「内閣総理大臣」とあるのは「主任の大臣を通じて内閣総理大臣」とする。

第3節 給与

第62条 (給与の根本基準)
職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす。

第1款 通則

第63条 (法律による給与の支給)
職員の給与は、別に定める法律に基づいてなされ、これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も支給することはできない。

第64条 (俸給表)
前条に規定する法律(以下「給与に関する法律」という。)には、俸給表が規定されなければならない。
俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、かつ、等級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならない。

第65条 (給与に関する法律に定めるべき事項)
給与に関する法律には、前条の俸給表のほか、次に掲げる事項が規定されなければならない。
初任給、昇給その他の俸給の決定の基準に関する事項
官職又は勤務の特殊性を考慮して支給する給与に関する事項
親族の扶養その他職員の生計の事情を考慮して支給する給与に関する事項
地域の事情を考慮して支給する給与に関する事項
時間外勤務、夜間勤務及び休日勤務に対する給与に関する事項
一定の期間における勤務の状況を考慮して年末等に特別に支給する給与に関する事項
常時勤務を要しない官職を占める職員の給与に関する事項
前項第一号の基準は、勤続期間、勤務能率その他勤務に関する諸要件を考慮して定められるものとする。

第66条 削除

第67条 (給与に関する法律に定める事項の改定)
人事院は、第28条第2項の規定によるもののほか、給与に関する法律に定める事項に関し、常時、必要な調査研究を行い、これを改定する必要を認めたときは、遅滞なく改定案を作成して、国会及び内閣に勧告をしなければならない。

第2款 給与の支払

第68条 (給与簿)
職員に対して給与の支払をなす者は、先づ受給者につき給与簿を作成しなければならない。
給与簿は、何時でも人事院の職員が検査し得るようにしておかなければならない。
前二項に定めるものを除いては、給与簿に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。

第69条 (給与簿の検査)
職員の給与が法令、人事院規則又は人事院指令に適合して行われることを確保するため必要があるときは、人事院は給与簿を検査し、必要があると認めるときは、その是正を命ずることができる。

第70条 (違法の支払に対する措置)
人事院は、給与の支払が、法令、人事院規則又は人事院指令に違反してなされたことを発見した場合には、自己の権限に属する事項については自ら適当な措置をなす外、必要があると認めるときは、事の性質に応じて、これを会計検査院に報告し、又は検察官に通報しなければならない。

第4節 人事評価

第70条の2 (人事評価の根本基準)
職員の人事評価は、公正に行われなければならない。

第70条の3(人事評価の実施)

職員の執務については、その所轄庁の長は、定期的に人事評価を行わなければならない。

人事評価の基準及び方法に関する事項その他人事評価に関し必要な事項は、人事院の意見を聴いて、政令で定める。

第70条の4 (人事評価に基づく措置)
所轄庁の長は、前条第一項の人事評価の結果に応じた措置を講じなければならない。
内閣総理大臣は、勤務成績の優秀な者に対する表彰に関する事項及び成績の著しく不良な者に対する矯正方法に関する事項を立案し、これについて、適当な措置を講じなければならない。

第4節の2 研修

第70条の5 (研修の根本基準)
研修は、職員に現在就いている官職又は将来就くことが見込まれる官職の職務の遂行に必要な知識及び技能を習得させ、並びに職員の能力及び資質を向上させることを目的とするものでなければならない。
前項の根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定めのあるものを除いては、人事院の意見を聴いて政令で定める。
人事院及び内閣総理大臣は、それぞれの所掌事務に係る研修による職員の育成について調査研究を行い、その結果に基づいて、それぞれの所掌事務に係る研修について適切な方策を講じなければならない。

第70条の6 (研修計画)
人事院、内閣総理大臣及び関係庁の長は、前条第一項に規定する根本基準を達成するため、職員の研修(人事院にあっては第一号に掲げる観点から行う研修とし、内閣総理大臣にあっては第二号に掲げる観点から行う研修とし、関係庁の長にあっては第三号に掲げる観点から行う研修とする。)について計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
国民全体の奉仕者としての使命の自覚及び多角的な視点等を有する職員の育成並びに研修の方法に関する専門的知見を活用して行う職員の効果的な育成
各行政機関の課程対象者の政府全体を通じた育成又は内閣の重要政策に関する理解を深めることを通じた行政各部の施策の統一性の確保
行政機関が行うその職員の育成又は行政機関がその所掌事務について行うその職員及び他の行政機関の職員に対する知識及び技能の付与
前項の計画は、同項の目的を達成するために必要かつ適切な職員の研修の機会が確保されるものでなければならない。
内閣総理大臣は、第一項の規定により内閣総理大臣及び関係庁の長が行う研修についての計画の樹立及び実施に関し、その総合的企画及び関係各庁に対する調整を行う。
内閣総理大臣は、前項の総合的企画に関連して、人事院に対し、必要な協力を要請することができる。
人事院は、第一項の計画の樹立及び実施に関し、その監視を行う。

第70条の7 (研修に関する報告要求等)
人事院は、内閣総理大臣又は関係庁の長に対し、人事院規則の定めるところにより、前条第一項の計画に基づく研修の実施状況について報告を求めることができる。
人事院は、内閣総理大臣又は関係庁の長が法令に違反して前条第一項の計画に基づく研修を行った場合には、その是正のため必要な指示を行うことができる。

第5節 能率

第71条 (能率の根本基準)
職員の能率は、充分に発揮され、且つ、その増進がはかられなければならない。
前項の根本基準の実施につき、必要な事項は、この法律に定めるものを除いては、人事院規則でこれを定める。
内閣総理大臣は、職員の能率の発揮及び増進について、調査研究を行い、その確保のため適切な方策を講じなければならない。

第72条 削除

第73条 (能率増進計画)
内閣総理大臣及び関係庁の長は、職員の勤務能率の発揮及び増進のために、次に掲げる事項について計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
職員の保健に関する事項
職員のレクリエーションに関する事項
職員の安全保持に関する事項
職員の厚生に関する事項
前項の計画の樹立及び実施に関し、内閣総理大臣は、その総合的企画並びに関係各庁に対する調整及び監視を行う。

第73条の二'' (能率の増進に関する要請)
内閣総理大臣は、職員の能率の増進を図るため必要があると認めるときは、関係庁の長に対し、国家公務員宿舎法 (昭和二十四年法律第百十七号)又は国家公務員等の旅費に関する法律 (昭和二十五年法律第百十四号)の執行に関し必要な要請をすることができる。

第6節 分限、懲戒及び保障

第74条 (分限、懲戒及び保障の根本基準)
すべて職員の分限、懲戒及び保障については、公正でなければならない。
前項に規定する根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定めるものを除いては、人事院規則でこれを定める。

第1款 分限

第1目 降任、休職、免職等

第75条 (身分保障)
職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。
職員は、人事院規則の定める事由に該当するときは、降給されるものとする。

第76条 (欠格による失職)
職員が第38条各号の一に該当するに至ったときは、人事院規則に定める場合を除いては、当然失職する。

第77条 (離職)
職員の離職に関する規定は、この法律及び人事院規則でこれを定める。

第78条 (本人の意に反する降任及び免職の場合)
職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
その他その官職に必要な適格性を欠く場合
官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

(幹部職員の降任に関する特例)
第78条の2 任命権者は、幹部職員(幹部職のうち職制上の段階が最下位の段階のものを占める幹部職員を除く。以下この条において同じ。)について、次の各号に掲げる場合のいずれにも該当するときは、人事院規則の定めるところにより、当該幹部職員が前条各号に掲げる場合のいずれにも該当しない場合においても、その意に反して降任(直近下位の職制上の段階に属する幹部職への降任に限る。)を行うことができる。
当該幹部職員が、人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、他の官職(同じ職制上の段階に属する他の官職であって、当該官職に対する任命権が当該幹部職員の任命権者に属するものをいう。第三号において「他の官職」という。)を占める他の幹部職員に比して勤務実績が劣っているものとして人事院規則で定める要件に該当する場合
当該幹部職員が現に任命されている官職に幹部職員となり得る他の特定の者を任命すると仮定した場合において、当該他の特定の者が、人事評価又は勤務の状況を示す事実その他の客観的な事実及び当該官職についての適性に照らして、当該幹部職員より優れた業績を挙げることが十分見込まれる場合として人事院規則で定める要件に該当する場合
当該幹部職員について、欠員を生じ、若しくは生ずると見込まれる他の官職についての適性が他の候補者と比較して十分でない場合として人事院規則で定める要件に該当すること若しくは他の官職の職務を行うと仮定した場合において当該幹部職員が当該他の官職に現に就いている他の職員より優れた業績を挙げることが十分見込まれる場合として人事院規則で定める要件に該当しないことにより、転任させるべき適当な官職がないと認められる場合又は幹部職員の任用を適切に行うため当該幹部職員を降任させる必要がある場合として人事院規則で定めるその他の場合

第79条 (本人の意に反する休職の場合)
職員が、左の各号の一に該当する場合又は人事院規則で定めるその他の場合においては、その意に反して、これを休職することができる。
心身の故障のため、長期の休養を要する場合
刑事事件に関し起訴された場合

第80条 (休職の効果)
前条第一号の規定による休職の期間は、人事院規則でこれを定める。休職期間中その事故の消滅したときは、休職は当然終了したものとし、すみやかに復職を命じなければならない。
前条第二号の規定による休職の期間は、その事件が裁判所に係属する間とする。
いかなる休職も、その事由が消滅したときは、当然に終了したものとみなされる。
休職者は、職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。休職者は、その休職の期間中、給与に関する法律で別段の定めをしない限り、何らの給与を受けてはならない。

第81条 (適用除外)
次に掲げる職員の分限(定年に係るものを除く。次項において同じ。)については、第75条、第78条から前条まで及び第89条並びに行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)の規定は、適用しない。
臨時的職員
条件付採用期間中の職員
前項各号に掲げる職員の分限については、人事院規則で必要な事項を定めることができる。

第2目 定年

第81条の2 (定年による退職)
職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第55条第1項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
前項の定年は、年齢六十年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢とする。
病院、療養所、診療所等で人事院規則で定めるものに勤務する医師及び歯科医師 年齢六十五年
庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるもの 年齢六十三年
前二号に掲げる職員のほか、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める職員で人事院規則で定めるもの 六十年を超え、六十五年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢
前二項の規定は、臨時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び常時勤務を要しない官職を占める職員には適用しない。

第81条の3 (定年による退職の特例)
任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。
任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、人事院の承認を得て、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。

第81条の4 (定年退職者等の再任用)
任命権者は、第81条の2第1項の規定により退職した者若しくは前条の規定により勤務した後退職した者若しくは定年退職日以前に退職した者のうち勤続期間等を考慮してこれらに準ずるものとして人事院規則で定める者(以下「定年退職者等」という。)又は自衛隊法 の規定により退職した者であって定年退職者等に準ずるものとして人事院規則で定める者(次条において「自衛隊法 による定年退職者等」という。)を、従前の勤務実績等に基づく選考により、一年を超えない範囲内で任期を定め、常時勤務を要する官職に採用することができる。ただし、その者がその者を採用しようとする官職に係る定年に達していないときは、この限りでない。
前項の任期又はこの項の規定により更新された任期は、人事院規則の定めるところにより、一年を超えない範囲内で更新することができる。
前二項の規定による任期については、その末日は、その者が年齢六十五年に達する日以後における最初の三月三十一日以前でなければならない。

第81条の5
任命権者は、定年退職者等又は自衛隊法 による定年退職者等を、従前の勤務実績等に基づく選考により、一年を超えない範囲内で任期を定め、短時間勤務の官職(当該官職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間が、常時勤務を要する官職でその職務が当該短時間勤務の官職と同種のものを占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間であるものをいう。第3項において同じ。)に採用することができる。
前項の規定により採用された職員の任期については、前条第2項及び第3項の規定を準用する。
短時間勤務の官職については、定年退職者等及び自衛隊法 による定年退職者等のうち第81条の2第1項 及び第2項 の規定の適用があるものとした場合の当該官職に係る定年に達した者に限り任用することができるものとする。

第81条の6 (定年に関する事務の調整等)
内閣総理大臣は、職員の定年に関する事務の適正な運営を確保するため、各行政機関が行う当該事務の運営に関し必要な調整を行うほか、職員の定年に関する制度の実施に関する施策を調査研究し、その権限に属する事項について適切な方策を講ずるものとする。

第2款 懲戒

第82条 (懲戒の場合)
職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
この法律若しくは国家公務員倫理法 又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項 の規定に基づく訓令及び同条第四項 の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合
国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合
職員が、任命権者の要請に応じ特別職に属する国家公務員、地方公務員又は沖縄振興開発金融公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち人事院規則で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職国家公務員等」という。)となるため退職し、引き続き特別職国家公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の特別職国家公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、特別職国家公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。以下この項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。職員が、第81条の4第1項又は第81条の5第1項の規定により採用された場合において、定年退職者等となった日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又は第81条の4第1項若しくは第81条の五第一項の規定によりかつて採用されて職員として在職していた期間中に前項各号のいずれかに該当したときも、同様とする。

第83条 (懲戒の効果)
停職の期間は、一年をこえない範囲内において、人事院規則でこれを定める。
停職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない。停職者は、第92条の規定による場合の外、停職の期間中給与を受けることができない。

第84条 (懲戒権者)
懲戒処分は、任命権者が、これを行う。
人事院は、この法律に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができる。

第84条の2 (国家公務員倫理審査会への権限の委任)
人事院は、前条第2項の規定による権限(国家公務員倫理法 又はこれに基づく命令(同法第五条第三項 の規定に基づく訓令及び同条第四項 の規定に基づく規則を含む。)に違反する行為に関して行われるものに限る。)を国家公務員倫理審査会に委任する。

第85条 (刑事裁判との関係)
懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。この法律による懲戒処分は、当該職員が、同一又は関連の事件に関し、重ねて刑事上の訴追を受けることを妨げない。

第3款 保障

第1目 勤務条件に関する行政措置の要求

第86条 (勤務条件に関する行政措置の要求)
職員は、俸給、給料その他あらゆる勤務条件に関し、人事院に対して、人事院若しくは内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長により、適当な行政上の措置が行われることを要求することができる。

第87条 (事案の審査及び判定)
前条に規定する要求のあったときは、人事院は、必要と認める調査、口頭審理その他の事実審査を行い、一般国民及び関係者に公平なように、且つ、職員の能率を発揮し、及び増進する見地において、事案を判定しなければならない。

第88条 (判定の結果採るべき措置)
人事院は、前条に規定する判定に基き、勤務条件に関し一定の措置を必要と認めるときは、その権限に属する事項については、自らこれを実行し、その他の事項については、内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長に対し、その実行を勧告しなければならない。

第2目 職員の意に反する不利益な処分に関する審査

第89条 (職員の意に反する降給等の処分に関する説明書の交付)
職員に対し、その意に反して、降給し、降任し、休職し、免職し、その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行わうとするときは、その処分を行う者は、その職員に対し、その処分の際、処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。
職員が前項に規定するいちじるしく不利益な処分を受けたと思料する場合には、同項の説明書の交付を請求することができる。
第1項の説明書には、当該処分につき、人事院に対して不服申立てをすることができる旨及び不服申立期間を記載しなければならない。

第90条 (不服申立て)
前条第1項に規定する処分を受けた職員は、人事院に対してのみ行政不服審査法による不服申立て(審査請求又は異議申立て)をすることができる。
前条第1項に規定する処分及び法律に特別の定めがある処分を除くほか、職員に対する処分については、行政不服審査法 による不服申立てをすることができない。職員がした申請に対する不作為についても、同様とする。
第1項に規定する不服申立てについては、行政不服審査法第二章第一節 から第三節 までの規定を適用しない。

第90の2 (不服申立期間)
前条第1項に規定する不服申立ては、処分説明書を受領した日の翌日から起算して六十日以内にしなければならず、処分があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。

第91条 (調査)
第9条第1項に規定する不服申立てを受理したときは、人事院又はその定める機関は、ただちにその事案を調査しなければならない。
前項に規定する場合において、処分を受けた職員から請求があったときは、口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その職員から請求があったときは、公開して行わなければならない。
処分を行った者又はその代理者及び処分を受けた職員は、すべての口頭審理に出席し、自己の代理人として弁護人を選任し、陳述を行い、証人を出席せしめ、並びに書類、記録その他のあらゆる適切な事実及び資料を提出することができる。
前項に掲げる者以外の者は、当該事案に関し、人事院に対し、あらゆる事実及び資料を提出することができる。

第92条 (調査の結果採るべき措置)
前条に規定する調査の結果、処分を行うべき事由のあることが判明したときは、人事院は、その処分を承認し、又はその裁量により修正しなければならない。
前条に規定する調査の結果、その職員に処分を受けるべき事由のないことが判明したときは、人事院は、その処分を取り消し、職員としての権利を回復するために必要で、且つ、適切な処置をなし、及びその職員がその処分によって受けた不当な処置を是正しなければならない。人事院は、職員がその処分によって失った俸給の弁済を受けるように指示しなければならない。
前2項の判定は、最終のものであって、人事院規則の定めるところにより、人事院によってのみ審査される。

第92条の2 (不服申立てと訴訟との関係)
第89条第1項に規定する処分であって人事院に対して審査請求又は異議申立てをすることができるものの取消しの訴えは、審査請求又は異議申立てに対する人事院の裁決又は決定を経た後でなければ、提起することができない。

第3目 公務傷病に対する補償

第93条 (公務傷病に対する補償)
職員が公務に基き死亡し、又は負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくはこれに起因して死亡した場合における、本人及びその直接扶養する者がこれによって受ける損害に対し、これを補償する制度が樹立し実施せられなければならない。
前項の規定による補償制度は、法律によってこれを定める。

第94条 (法律に規定すべき事項)
前条の補償制度には、左の事項が定められなければならない。
公務上の負傷又は疾病に起因した活動不能の期間における経済的困窮に対する職員の保護に関する事項
公務上の負傷又は疾病に起因して、永久に、又は長期に所得能力を害せられた場合におけるその職員の受ける損害に対する補償に関する事項
公務上の負傷又は疾病に起因する職員の死亡の場合におけるその遺族又は職員の死亡当時その収入によって生計を維持した者の受ける損害に対する補償に関する事項

第95条 (補償制度の立案及び実施の責務)
人事院は、なるべくすみやかに、補償制度の研究を行い、その成果を国会及び内閣に提出するとともに、その計画を実施しなければならない。

第7節 服務

第96条 (服務の根本基準)
すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
前項に規定する根本基準の実施に関し必要な事項は、この法律又は国家公務員倫理法 に定めるものを除いては、人事院規則でこれを定める。

第97条 (服務の宣誓)
職員は、政令の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。

第98条 (法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)
職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。
職員で同盟罷業その他前項の規定に違反する行為をした者は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利をもって、対抗することができない。

第99条 (信用失墜行為の禁止)
職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

第100条 (秘密を守る義務)
職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。
前項の許可は、法律又は政令の定める条件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。
前三項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によって行われる調査又は審理に際して、秘密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかった者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない。
前項の規定は、第18条の4の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会が行う調査について準用する。この場合において、同項中「人事院」とあるのは「再就職等監視委員会」と、「調査又は審理」とあるのは「調査」と読み替えるものとする。

第101条 (職務に専念する義務)
職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。
前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。

第102条 (政治的行為の制限)
職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
職員は、公選による公職の候補者となることができない。
職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。

第103条 (私企業からの隔離)
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。
営利企業について、株式所有の関係その他の関係により、当該企業の経営に参加し得る地位にある職員に対し、人事院は、人事院規則の定めるところにより、株式所有の関係その他の関係について報告を徴することができる。
人事院は、人事院規則の定めるところにより、前項の報告に基き、企業に対する関係の全部又は一部の存続が、その職員の職務遂行上適当でないと認めるときは、その旨を当該職員に通知することができる。
前項の通知を受けた職員は、その通知の内容について不服があるときは、その通知を受領した日の翌日から起算して六十日以内に、人事院に行政不服審査法 による異議申立てをすることができる。
第9条第3項並びに第91条第2項及び第3項の規定は前項の異議申立てのあった場合について、第92条の2の規定は第4項の通知の取消しの訴えについて、それぞれ準用する。
第5項の異議申立てをしなかった職員及び人事院が異議申立てについて調査した結果、通知の内容が正当であると決定せられた職員は、人事院規則の定めるところにより、人事院規則の定める期間内に、その企業に対する関係の全部若しくは一部を絶つか、又はその官職を退かなければならない。

第104条 (他の事業又は事務の関与制限)
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

第105条 (職員の職務の範囲)
職員は、職員としては、法律、命令、規則又は指令による職務を担当する以外の義務を負わない。

第106条 (勤務条件)
職員の勤務条件その他職員の服務に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定めることができる。
前項の人事院規則は、この法律の規定の趣旨に沿うものでなければならない。

第8節 退職管理

第1款 離職後の就職に関する規制

第106条の2 (他の役職員についての依頼等の規制)
職員は、営利企業等(営利企業及び営利企業以外の法人(国、国際機関、地方公共団体、特定独立行政法人及び地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第二項 に規定する特定地方独立行政法人を除く。)をいう。以下同じ。)に対し、他の職員若しくは特定独立行政法人の役員(以下「役職員」という。)をその離職後に、若しくは役職員であった者を、当該営利企業等若しくはその子法人(当該営利企業等に財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。)を支配されている法人として政令で定めるものをいう。以下同じ。)の地位に就かせることを目的として、当該役職員若しくは役職員であった者に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該役職員をその離職後に、若しくは役職員であった者を、当該営利企業等若しくはその子法人の地位に就かせることを要求し、若しくは依頼してはならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
職業安定法 (昭和二十二年法律第百四十一号)、船員職業安定法 (昭和二十三年法律第百三十号)その他の法令の定める職業の安定に関する事務として行う場合
退職手当通算予定職員を退職手当通算法人の地位に就かせることを目的として行う場合(独立行政法人通則法第五十四条の二第一項 において読み替えて準用する第四項 に規定する退職手当通算予定役員を同条第一項 において準用する次項に規定する退職手当通算法人の地位に就かせることを目的として行う場合を含む。)
官民人材交流センター(以下「センター」という。)の職員が、その職務として行う場合
前項第二号の「退職手当通算法人」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)その他特別の法律により設立された法人でその業務が国の事務又は事業と密接な関連を有するもののうち政令で定めるもの(退職手当(これに相当する給付を含む。)に関する規程において、職員が任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて当該法人の役員又は当該法人に使用される者となった場合に、職員としての勤続期間を当該法人の役員又は当該法人に使用される者としての勤続期間に通算することと定めている法人に限る。)をいう。
第2項第二号の「退職手当通算予定職員」とは、任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて退職手当通算法人(前項に規定する退職手当通算法人をいう。以下同じ。)の役員又は退職手当通算法人に使用される者となるため退職することとなる職員であって、当該退職手当通算法人に在職した後、特別の事情がない限り引き続いて選考による採用が予定されている者のうち政令で定めるものをいう。

第106条の3 (在職中の求職の規制)
職員は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
退職手当通算予定職員(前条第4項に規定する退職手当通算予定職員をいう。以下同じ。)が退職手当通算法人に対して行う場合
在職する局等組織(国家行政組織法第七条第一項 に規定する官房若しくは局、同法第八条の に規定する施設等機関その他これらに準ずる国の部局若しくは機関として政令で定めるもの、これらに相当する特定独立行政法人の組織として政令で定めるもの又は都道府県警察をいう。以下同じ。)の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるものに就いている職員が行う場合
センターから紹介された利害関係企業等との間で、当該利害関係企業等又はその子法人の地位に就くことに関して職員が行う場合
職員が利害関係企業等に対し、当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束することにより公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合として政令で定める場合において、政令で定める手続により内閣総理大臣の承認を得た職員が当該承認に係る利害関係企業等に対して行う場合
前項第四号の規定による内閣総理大臣が承認する権限は、再就職等監視委員会に委任する。
前項の規定により再就職等監視委員会に委任された権限は、政令で定めるところにより、再就職等監察官に委任することができる。
再就職等監視委員会が第3項の規定により委任を受けた権限に基づき行う承認(前項の規定により委任を受けた権限に基づき再就職等監察官が行う承認を含む。)についての行政不服審査法 による不服申立ては、再就職等監視委員会に対して行うことができる。

第106条の4 (再就職者による依頼等の規制)
職員であった者であって離職後に営利企業等の地位に就いている者(退職手当通算予定職員であった者であって引き続いて退職手当通算法人の地位に就いている者(以下「退職手当通算離職者」という。)を除く。以下「再就職者」という。)は、離職前五年間に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、国、特定独立行政法人若しくは都道府県と当該営利企業等若しくはその子法人との間で締結される売買、貸借、請負その他の契約又は当該営利企業等若しくはその子法人に対して行われる行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二条第二号 に規定する処分に関する事務(以下「契約等事務」という。)であって離職前五年間の職務に属するものに関し、離職後二年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。
前項の規定によるもののほか、再就職者のうち、国家行政組織法第二十一条第一項 に規定する部長若しくは課長の職又はこれらに準ずる職であって政令で定めるものに、離職した日の五年前の日より前に就いていた者は、当該職に就いていた時に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であって離職した日の五年前の日より前の職務(当該職に就いていたときの職務に限る。)に属するものに関し、離職後二年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。
前二項の規定によるもののほか、再就職者のうち、国家行政組織法第六条 に規定する長官、同法第十八条第一項 に規定する事務次官、同法第二十一条第一項 に規定する事務局長若しくは局長の職又はこれらに準ずる職であって政令で定めるものに就いていた者は、当該職に就いていた時に在職していた府省その他の政令で定める国の機関、特定独立行政法人若しくは都道府県警察(以下「局長等としての在職機関」という。)に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であって局長等としての在職機関の所掌に属するものに関し、離職後二年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。
前三項の規定によるもののほか、再就職者は、在職していた府省その他の政令で定める国の機関、特定独立行政法人若しくは都道府県警察(以下この項において「行政機関等」という。)に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、国、特定独立行政法人若しくは都道府県と営利企業等(当該再就職者が現にその地位に就いているものに限る。)若しくはその子法人との間の契約であって当該行政機関等においてその締結について自らが決定したもの又は当該行政機関等による当該営利企業等若しくはその子法人に対する行政手続法第二条第二号 に規定する処分であって自らが決定したものに関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。
前各項の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
試験、検査、検定その他の行政上の事務であって、法律の規定に基づく行政庁による指定若しくは登録その他の処分(以下「指定等」という。)を受けた者が行う当該指定等に係るもの若しくは行政庁から委託を受けた者が行う当該委託に係るものを遂行するために必要な場合、又は国の事務若しくは事業と密接な関連を有する業務として政令で定めるものを行うために必要な場合
行政庁に対する権利若しくは義務を定めている法令の規定若しくは国、特定独立行政法人若しくは都道府県との間で締結された契約に基づき、権利を行使し、若しくは義務を履行する場合、行政庁の処分により課された義務を履行する場合又はこれらに類する場合として政令で定める場合
行政手続法第二条第三号 に規定する申請又は同条第七号 に規定する届出を行う場合
会計法 (昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条の三第一項 に規定する競争の手続、特定独立行政法人が公告して申込みをさせることによる競争の手続又は地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十四条第一項 に規定する一般競争入札若しくはせり売りの手続に従い、売買、貸借、請負その他の契約を締結するために必要な場合
法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報の提供を求める場合(一定の日以降に公にすることが予定されている情報を同日前に開示するよう求める場合を除く。)
再就職者が役職員(これに類する者を含む。以下この号において同じ。)に対し、契約等事務に関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼することにより公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合として政令で定める場合において、政令で定める手続により内閣総理大臣の承認を得て、再就職者が当該承認に係る役職員に対し、当該承認に係る契約等事務に関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼する場合
前項第六号の規定による内閣総理大臣が承認する権限は、再就職等監視委員会に委任する。
前項の規定により再就職等監視委員会に委任された権限は、政令で定めるところにより、再就職等監察官に委任することができる。
再就職等監視委員会が第六項の規定により委任を受けた権限に基づき行う承認(前項の規定により委任を受けた権限に基づき再就職等監察官が行う承認を含む。)についての行政不服審査法 による不服申立ては、再就職等監視委員会に対して行うことができる。
職員は、第五項各号に掲げる場合を除き、再就職者から第一項から第四項までの規定により禁止される要求又は依頼を受けたとき(独立行政法人通則法第五十四条の二第一項 において準用する第一項 から第四項 までの規定により禁止される要求又は依頼を受けたときを含む。)は、政令で定めるところにより、再就職等監察官にその旨を届け出なければならない。

第2款 再就職等監視委員会

第106条の5 (設置)
内閣府に、再就職等監視委員会(以下「委員会」という。)を置く。
委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
第18条の4の規定により委任を受けた権限に基づき調査を行うこと。
第106条の3第3項及び前条第六項の規定により委任を受けた権限に基づき承認を行うこと。
前二号に掲げるもののほか、この法律及び他の法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。

第106条の6 (職権の行使)
委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。

第106条の7 (組織)
委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。
委員は、非常勤とする。
委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

第106条の8 (委員長及び委員の任命)
委員長及び委員は、人格が高潔であり、職員の退職管理に関する事項に関し公正な判断をすることができ、法律又は社会に関する学識経験を有する者であって、かつ、役職員(検察官その他の職務の特殊性を勘案して政令で定める者を除く。)としての前歴を有しない者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、委員長又は委員を任命することができる。
前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員長又は委員を罷免しなければならない。

第106条の9 (委員長及び委員の任期)
委員長及び委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員長及び委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員長及び委員は、再任されることができる。
委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

第106条の10 (身分保障)
委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
破産手続開始の決定を受けたとき。
禁錮以上の刑に処せられたとき。
役職員(第106条の八第一項に規定する政令で定める者を除く。)となったとき。
委員会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。

第106条の11 (罷免)
内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

第106条の12 (服務)
委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
委員長は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

第106条の13 (給与)
委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。

第106条の14 (再就職等監察官)
委員会に、再就職等監察官(以下「監察官」という。)を置く。
監察官は、委員会の定めるところにより、次に掲げる事務を行う。
第106条の4第4項及び第106条の4第7項の規定により委任を受けた権限に基づき承認を行うこと。
第106条の4第9項の規定による届出を受理すること。
第106条の19及び第106条の20第1項の規定による調査を行うこと。
前三号に掲げるもののほか、この法律及び他の法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。
監察官のうち常勤とすべきものの定数は、政令で定める。
前項に規定するもののほか、監察官は、非常勤とする。
監察官は、役職員(検察官その他の職務の特殊性を勘案して政令で定める者を除く。)としての前歴を有しない者のうちから、委員会の議決を経て、内閣総理大臣が任命する。

第106条の15 (事務局)
委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。
事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

第106条の16 (違反行為の疑いに係る任命権者の報告)
任命権者は、職員又は職員であった者に再就職等規制違反行為(第106条の2から第106条の4までの規定に違反する行為をいう。以下同じ。)を行った疑いがあると思料するときは、その旨を委員会に報告しなければならない。

第106条の17 (任命権者による調査)
任命権者は、職員又は職員であった者に再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料して当該再就職等規制違反行為に関して調査を行おうとするときは、委員会にその旨を通知しなければならない。
委員会は、任命権者が行う前項の調査の経過について、報告を求め、又は意見を述べることができる。
任命権者は、第1項の調査を終了したときは、遅滞なく、委員会に対し、当該調査の結果を報告しなければならない。

第106条の18 (任命権者に対する調査の要求等)
委員会は、第106条の4第9項の届出、第106条の16の報告又はその他の事由により職員又は職員であった者に再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するときは、任命権者に対し、当該再就職等規制違反行為に関する調査を行うよう求めることができる。
前条第2項及び第3項の規定は、前項の規定により行われる調査について準用する。

第106条の19 (共同調査)
委員会は、第106条の17第2項(前条第2項において準用する場合を含む。)の規定により報告を受けた場合において必要があると認めるときは、再就職等規制違反行為に関し、監察官に任命権者と共同して調査を行わせることができる。

第106条の20 (委員会による調査)
委員会は、第106条の4第9項の届出、第106条の16の報告又はその他の事由により職員又は職員であった者に再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料する場合であって、特に必要があると認めるときは、当該再就職等規制違反行為に関する調査の開始を決定し、監察官に当該調査を行わせることができる。
任命権者は、前項の調査に協力しなければならない。
委員会は、第一項の調査を終了したときは、遅滞なく、任命権者に対し、当該調査の結果を通知しなければならない。

第106条の21 (勧告)
委員会は、第106条の17第3項(第106条の18第2項において準用する場合を含む。)の規定による調査の結果の報告に照らし、又は第106条の19若しくは前条第1項の規定により監察官に調査を行わせた結果、任命権者において懲戒処分その他の措置を行うことが適当であると認めるときは、任命権者に対し、当該措置を行うべき旨の勧告をすることができる。
任命権者は、前項の勧告に係る措置について、委員会に対し、報告しなければならない。
委員会は、内閣総理大臣に対し、この節の規定の適切な運用を確保するために必要と認められる措置について、勧告することができる。

第106条の22 (政令への委任)
第106条の5から前条までに規定するもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

第3款 雑則

第106条の23 (任命権者への届出)
職員(退職手当通算予定職員を除く。)は、離職後に営利企業等の地位に就くことを約束した場合には、速やかに、政令で定めるところにより、任命権者に政令で定める事項を届け出なければならない。
前項の届出を受けた任命権者は、第106条の3第1項の規定の趣旨を踏まえ、当該届出を行った職員の任用を行うものとする。
第1項の届出を受けた任命権者は、当該届出を行った職員が管理又は監督の地位にある職員の官職として政令で定めるものに就いている職員(以下「管理職職員」という。)である場合には、速やかに、当該届出に係る事項を内閣総理大臣に通知するものとする。

第106条の24 (内閣総理大臣への届出)
管理職職員であった者(退職手当通算離職者を除く。次項において同じ。)は、離職後二年間、次に掲げる法人の役員その他の地位であって政令で定めるものに就こうとする場合(前条第1項の規定により政令で定める事項を届け出た場合を除く。)には、あらかじめ、政令で定めるところにより、内閣総理大臣に政令で定める事項を届け出なければならない。
特定独立行政法人以外の独立行政法人
特殊法人(法律により直接に設立された法人及び特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人に該当するものを除く。)のうち政令で定めるものをいう。)
認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち政令で定めるものをいう。)
公益社団法人又は公益財団法人(国と特に密接な関係があるものとして政令で定めるものに限る。)
管理職職員であった者は、離職後二年間、営利企業以外の事業の団体の地位に就き、若しくは事業に従事し、若しくは事務を行うこととなった場合(報酬を得る場合に限る。)又は営利企業(前項第二号又は第三号に掲げる法人を除く。)の地位に就いた場合は、前条第一項又は前項の規定による届出を行った場合、日々雇い入れられる者となった場合その他政令で定める場合を除き、政令で定めるところにより、速やかに、内閣総理大臣に政令で定める事項を届け出なければならない。

第106条の25 (内閣総理大臣による報告及び公表)
内閣総理大臣は、第106条の23第3項の規定による通知及び前条の規定による届出を受けた事項について、遅滞なく、政令で定めるところにより、内閣に報告しなければならない。
内閣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、政令で定める事項を公表するものとする。

第106条の26 (退職管理基本方針)
内閣総理大臣は、あらかじめ、第55条第1項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者と協議して職員の退職管理に関する基本的な方針(以下「退職管理基本方針」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、退職管理基本方針を公表しなければならない。
前二項の規定は、退職管理基本方針の変更について準用する。
任命権者は、退職管理基本方針に沿って、職員の退職管理を行わなければならない。

第106条の27 (再就職後の公表)
在職中に第106条の3第2項第四号の承認を得た管理職職員が離職後に当該承認に係る営利企業等の地位に就いた場合には、当該管理職職員が離職時に在職していた府省その他の政令で定める国の機関、特定独立行政法人又は都道府県警察(以下この条において「在職機関」という。)は、政令で定めるところにより、その者の離職後二年間(その者が当該営利企業等の地位に就いている間に限る。)、次に掲げる事項を公表しなければならない。
その者の氏名
在職機関が当該営利企業等に対して交付した補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 (昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項 に規定する補助金等をいう。)の総額
在職機関と当該営利企業等との間の売買、貸借、請負その他の契約の総額
その他政令で定める事項

第9節 退職年金制度

第107条 (退職年金制度)
職員が、相当年限忠実に勤務して退職した場合、公務に基く負傷若しくは疾病に基き退職した場合又は公務に基き死亡した場合におけるその者又はその遺族に支給する年金に関する制度が、樹立し実施せられなければならない。
前項の年金制度は、退職又は死亡の時の条件を考慮して、本人及びその退職又は死亡の当時直接扶養する者のその後における適当な生活の維持を図ることを目的とするものでなければならない。
第1項の年金制度は、健全な保険数理を基礎として定められなければならない。
前三項の規定による年金制度は、法律によってこれを定める。

第108条 (意見の申出)
人事院は、前条の年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる。

第10節 職員団体

第108条の2 (職員団体)
この法律において「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。
前項の「職員」とは、第五項に規定する職員以外の職員をいう。
職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。ただし、重要な行政上の決定を行う職員、重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員、職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員、職員の任免、分限、懲戒若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが職員団体の構成員としての誠意と責任とに直接に抵触すると認められる監督的地位にある職員その他職員団体との関係において当局の立場に立って遂行すべき職務を担当する職員(以下「管理職員等」という。)と管理職員等以外の職員とは、同一の職員団体を組織することができず、管理職員等と管理職員等以外の職員とが組織する団体は、この法律にいう「職員団体」ではない。
前項ただし書に規定する管理職員等の範囲は、人事院規則で定める。
警察職員及び海上保安庁又は刑事施設において勤務する職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない。

第108条の3 (職員団体の登録)
職員団体は、人事院規則で定めるところにより、理事その他の役員の氏名及び人事院規則で定める事項を記載した申請書に規約を添えて人事院に登録を申請することができる。
職員団体の規約には、少なくとも次に掲げる事項を記載するものとする。
名称
目的及び業務
主なる事務所の所在地
構成員の範囲及びその資格の得喪に関する規定
理事その他の役員に関する規定
次項に規定する事項を含む業務執行、会議及び投票に関する規定
経費及び会計に関する規定
他の職員団体との連合に関する規定
規約の変更に関する規定
解散に関する規定
職員団体が登録される資格を有し、及び引き続いて登録されているためには、規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為が、すべての構成員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)によって決定される旨の手続を定め、かつ、現実にその手続によりこれらの重要な行為が決定されることを必要とする。ただし、連合体である職員団体又は全国的規模をもつ職員団体にあっては、すべての構成員が平等に参加する機会を有する構成団体ごと又は地域若しくは職域ごとの直接かつ秘密の投票による投票者の過半数で代議員を選挙し、この代議員の全員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)によって決定される旨の手続を定め、かつ、現実に、その手続により決定されることをもつて足りるものとする。
前項に定めるもののほか、職員団体が登録される資格を有し、及び引き続いて登録されているためには、前条第5項に規定する職員以外の職員のみをもって組織されていることを必要とする。ただし、同項に規定する職員以外の職員であった者でその意に反して免職され、若しくは懲戒処分としての免職の処分を受け、当該処分を受けた日の翌日から起算して一年以内のもの又はその期間内に当該処分について法律の定めるところにより不服申立てをし、若しくは訴えを提起し、これに対する裁決若しくは決定又は裁判が確定するに至らないものを構成員にとどめていること、及び当該職員団体の役員である者を構成員としていることを妨げない。
人事院は、登録を申請した職員団体が前三項の規定に適合するものであるときは、人事院規則で定めるところにより、規約及び第1項に規定する申請書の記載事項を登録し、当該職員団体にその旨を通知しなければならない。この場合において、職員でない者の役員就任を認めている職員団体を、そのゆえをもって登録の要件に適合しないものと解してはならない。
登録された職員団体が職員団体でなくなったとき、登録された職員団体について第2項から第4項までの規定に適合しない事実があったとき、又は登録された職員団体が第9項の規定による届出をしなかったときは、人事院は、人事院規則で定めるところにより、六十日を超えない範囲内で当該職員団体の登録の効力を停止し、又は当該職員団体の登録を取り消すことができる。
前項の規定による登録の取消しに係る聴聞の期日における審理は、当該職員団体から請求があったときは、公開により行わなければならない。
第6項の規定による登録の取消しは、当該処分の取消しの訴えを提起することができる期間内及び当該処分の取消しの訴えの提起があったときは当該訴訟が裁判所に係属する間は、その効力を生じない。
登録された職員団体は、その規約又は第1項に規定する申請書の記載事項に変更があったときは、人事院規則で定めるところにより、人事院にその旨を届け出なければならない。この場合においては、第5項の規定を準用する。
10 登録された職員団体は、解散したときは、人事院規則で定めるところにより、人事院にその旨を届け出なければならない。

第108条の4 削除

第108条の5 (交渉)
当局は、登録された職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあった場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。
職員団体と当局との交渉は、団体協約を締結する権利を含まないものとする。
国の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。
職員団体が交渉することのできる当局は、交渉事項について適法に管理し、又は決定することのできる当局とする。
交渉は、職員団体と当局があらかじめ取り決めた員数の範囲内で、職員団体がその役員の中から指名する者と当局の指名する者との間において行なわなければならない。交渉に当たつては、職員団体と当局との間において、議題、時間、場所その他必要な事項をあらかじめ取り決めて行なうものとする。
前項の場合において、特別の事情があるときは、職員団体は、役員以外の者を指名することができるものとする。ただし、その指名する者は、当該交渉の対象である特定の事項について交渉する適法な委任を当該職員団体の執行機関から受けたことを文書によって証明できる者でなければならない。
交渉は、前二項の規定に適合しないこととなったとき、又は他の職員の職務の遂行を妨げ、若しくは国の事務の正常な運営を阻害することとなったときは、これを打ち切ることができる。
本条に規定する適法な交渉は、勤務時間中においても行なうことができるものとする。
職員は、職員団体に属していないという理由で、第一項に規定する事項に関し、不満を表明し、又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。

第108条の5の2 (人事院規則の制定改廃に関する職員団体からの要請)
登録された職員団体は、人事院規則の定めるところにより、職員の勤務条件について必要があると認めるときは、人事院に対し、人事院規則を制定し、又は改廃することを要請することができる。
人事院は、前項の規定による要請を受けたときは、速やかに、その内容を公表するものとする。

第108条の6 (職員団体のための職員の行為の制限)
職員は、職員団体の業務にもっぱら従事することができない。ただし、所轄庁の長の許可を受けて、登録された職員団体の役員としてもっぱら従事する場合は、この限りでない。
前項ただし書の許可は、所轄庁の長が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、所轄庁の長は、その許可の有効期間を定めるものとする。
第1項ただし書の規定により登録された職員団体の役員として専ら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年(特定独立行政法人の労働関係に関する法律 (昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二号 の職員として同法第七条第一項 ただし書の規定により労働組合の業務に専ら従事したことがある職員については、五年からその専ら従事した期間を控除した期間)を超えることができない。
第一項ただし書の許可は、当該許可を受けた職員が登録された職員団体の役員として当該職員団体の業務にもっぱら従事する者でなくなったときは、取り消されるものとする。
第一項ただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とする。
職員は、人事院規則で定める場合を除き、給与を受けながら、職員団体のためその業務を行ない、又は活動してはならない。

第108条の7 (不利益取扱いの禁止)
職員は、職員団体の構成員であること、これを結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと、又はその職員団体における正当な行為をしたことのために不利益な取扱いを受けない。