民事訴訟法

第三章口頭弁論及びその準備

第一節 口頭弁論(第148条~第160条)



(裁判長の訴訟指揮権)
第百四十八条 口頭弁論は、裁判長が指揮する。
 裁判長は、発言を許し、又はその命令に従わない者の発言を禁ずることができる。

(釈明権等)
第百四十九条 裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる。
 陪席裁判官は、裁判長に告げて、前項に規定する処置をすることができる。
 当事者は、口頭弁論の期日又は期日外において、裁判長に対して必要な発問を求めることができる。
 裁判長又は陪席裁判官が、口頭弁論の期日外において、攻撃又は防御の方法に重要な変更を生じ得る事項について第一項又は第二項の規定による処置をしたときは、その内容を相手方に通知しなければならない。

(訴訟指揮等に対する異議)
第百五十条 当事者が、口頭弁論の指揮に関する裁判長の命令又は前条第一項若しくは第二項の規定による裁判長若しくは陪席裁判官の処置に対し、異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。

(釈明処分)
第百五十一条 裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため、次に掲げる処分をすることができる。
 当事者本人又はその法定代理人に対し、口頭弁論の期日に出頭することを命ずること。
 口頭弁論の期日において、当事者のため事務を処理し、又は補助する者で裁判所が相当と認めるものに陳述をさせること。
 訴訟書類又は訴訟において引用した文書その他の物件で当事者の所持するものを提出させること。
 当事者又は第三者の提出した文書その他の物件を裁判所に留め置くこと。
 検証をし、又は鑑定を命ずること。
 調査を嘱託すること。
 前項に規定する検証、鑑定及び調査の嘱託については、証拠調べに関する規定を準用する。

(口頭弁論の併合等)
第百五十二条 裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる。
 裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

(口頭弁論の再開)
第百五十三条 裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる。

(通訳人の立会い等)
第百五十四条 口頭弁論に関与する者が日本語に通じないとき、又は耳が聞こえない者若しくは口がきけない者であるときは、通訳人を立ち会わせる。ただし、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、文字で問い、又は陳述をさせることができる。
 鑑定人に関する規定は、通訳人について準用する。

(弁論能力を欠く者に対する措置)
第百五十五条 裁判所は、訴訟関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、代理人又は補佐人の陳述を禁じ、口頭弁論の続行のため新たな期日を定めることができる。
 前項の規定により陳述を禁じた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、弁護士の付添いを命ずることができる。

(攻撃防御方法の提出時期)
第百五十六条 攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない。

(審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の提出期間)
第百五十六条の二 第百四十七条の三第一項の審理の計画に従った訴訟手続の進行上必要があると認めるときは、裁判長は、当事者の意見を聴いて、特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間を定めることができる。

(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
第百五十七条 当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。

(審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の却下)
第百五十七条の二 第百四十七条の三第三項又は第百五十六条の二(第百七十条第五項において準用する場合を含む。)の規定により特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間が定められている場合において、当事者がその期間の経過後に提出した攻撃又は防御の方法については、これにより審理の計画に従った訴訟手続の進行に著しい支障を生ずるおそれがあると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。ただし、その当事者がその期間内に当該攻撃又は防御の方法を提出することができなかったことについて相当の理由があることを疎明したときは、この限りでない。

(訴状等の陳述の擬制)
第百五十八条 原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。

(自白の擬制)
第百五十九条 当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。

(口頭弁論調書)
第百六十条 裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごとに調書を作成しなければならない。
 調書の記載について当事者その他の関係人が異議を述べたときは、調書にその旨を記載しなければならない。
 口頭弁論の方式に関する規定の遵守は、調書によってのみ証明することができる。ただし、調書が滅失したときは、この限りでない。

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