刑事訴訟法

第2章 裁判所職員の除斥及び忌避


第二十条(除斥の原因)
裁判官は、次に掲げる場合には、職務の執行から除斥される。
一. 裁判官が被害者であるとき。
二. 裁判官が被告人又は被害者の親族であるとき、又はあったとき。
三. 裁判官が被告人又は被害者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四. 裁判官が事件について証人又は鑑定人となったとき。
五. 裁判官が事件について被告人の代理人、弁護人又は補佐人となったとき。
六. 裁判官が事件について検察官又は司法警察員の職務を行ったとき。
七. 裁判官が事件について第二百六十六条第二号(管轄地方裁判所の審判)の決定、略式命令、前審の裁判、第三百九十八条(破棄差戻し)乃至第四百条(破棄差戻し・移送・自判)、第四百十二条(破棄移送)若しくは第四百十三条(破棄差戻し・移送・自判)の規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となった取調べに関与したとき。ただし、受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。

第二十一条(忌避の原因、忌避申立権者)
裁判官が職務の執行から除斥されるべきとき、又は不公平な裁判をする虞があるときは、検察官又は被告人は、これを忌避することができる。
2 弁護人は、被告人のため忌避の申立をすることができる。但し、被告人の明示した意思に反することはできない。

第二十二条(忌避申立ての時期)
事件について請求又は陳述をした後には、不公平な裁判をする虞があることを理由として裁判官を忌避することはできない。但し、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

第二十三条(忌避申立てに対する決定)
合議体の構成員である裁判官が忌避されたときは、その裁判官所属の裁判所が、決定をしなければならない。この場合において、その裁判所が地方裁判所であるときは、合議体で決定をしなければならない。
2 地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所の裁判官が忌避されたときはその裁判官所属の裁判所が、簡易裁判所の裁判官が忌避されたときは管轄地方裁判所が、合議体で決定をしなければならない。ただし、忌避された裁判官が忌避の申立てを理由があるものとするときは、その決定があったものとみなす。
3 忌避された裁判官は、前二項の決定に関与することができない。
4 裁判所が忌避された裁判官の退去により決定をすることができないときは、直近上級の裁判所が、決定をしなければならない。

第二十四条(簡易却下手続)
訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな忌避の申立は、決定でこれを却下しなければならない。この場合には、前条第三項の規定を適用しない。第二十二条(忌避申立ての時期)の規定に違反し、又は裁判所の規則で定める手続に違反してされた忌避の申立を却下する場合も、同様である。
2 前項の場合には、忌避された受命裁判官、地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、忌避の申立てを却下する裁判をすることができる。

第二十五条(即時抗告)
忌避の申立を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第二十六条(裁判所書記官の除斥、忌避)
この章の規定は、第二十条(除斥の原因)第七号(裁判官の移送原判決等の取調べの関与)の規定を除いて、裁判所書記にこれを準用する。
2 決定は、裁判所書記所属の裁判所がこれをしなければならない。但し、第二十四条第一項(明らかな忌避の申立)の場合には、裁判所書記の附属する受命裁判官が、忌避の申立を却下する裁判をすることができる。

第一章 裁判所の管轄

第三章 訴訟能力へ