刑事訴訟法

第15章 訴訟費用


第百八十一条(被告人等の費用負担)
刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。
2 被告人の責に帰すべき事由によって生じた費用は、刑の言渡をしない場合にも、被告人にこれを負担させることができる。
3 検察官のみが上訴を申し立てた場合において、上訴が棄却されたとき、又は上訴の取下げがあったときは、上訴に関する訴訟費用は、これを被告人に負担させることができない。ただし、被告人の責めに帰すべき事由によって生じた費用については、この限りでない。
4 公訴が提起されなかった場合において、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは、被疑者にこれを負担させることができる。

第百八十二条(共犯の費用)
共犯の訴訟費用は、共犯人に、連帯して、これを負担させることができる。

第百八十三条(告訴人等の費用負担)
告訴、告発又は請求により公訴の提起があった事件について被告人が無罪又は免訴の裁判を受けた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があったときは、その者に訴訟費用を負担させることができる。
2 告訴、告発又は請求があった事件について公訴が提起されなかった場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があったときも、前項と同様とする。

第百八十四条(上訴等の取下げと費用負担)
検察官以外の者が上訴又は再審若しくは正式裁判の請求を取り下げた場合には、その者に上訴、再審又は正式裁判に関する費用を負担させることができる。

第百八十五条(被告人負担の裁判)
裁判によって訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用を負担させるときは、職権でその裁判をしなければならない。この裁判に対しては、本案の裁判について上訴があったときに限り、不服を申し立てることができる。

第百八十六条(第三者負担の裁判)
裁判によって訴訟手続が終了する場合において、被告人以外の者に訴訟費用を負担させるときは、職権で別にその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百八十七条(本案の裁判がないとき)
裁判によらないで訴訟手続が終了する場合において、訴訟費用を負担させるときは、最終に事件の係属した裁判所が、職権でその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百八十七条の二(控訴の提起がないとき)
公訴が提起されなかった場合において、訴訟費用を負担させるときは、検察官の請求により、裁判所が決定をもってこれを行う。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百八十八条(負担額の算定)
訴訟費用の負担を命ずる裁判にその額を表示しないときは、執行の指揮をすべき検察官が、これを算定する。

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