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暫定版


令和2年4月1日施行(平成29年法律第45号による改正)

商法/第1条~第31条


第1編 総則

第1章 通則

(趣旨等)
第一条 商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の定めるところによる。
2 商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)の定めるところによる。
(公法人の商行為)
第二条 公法人が行う商行為については、法令に別段の定めがある場合を除き、この法律の定めるところによる。
(一方的商行為)
第三条 当事者の一方のために商行為となる行為については、この法律をその双方に適用する。
2 当事者の一方が二人以上ある場合において、その一人のために商行為となる行為については、この法律をその全員に適用する。

第2章 商人

(定義)
第四条 この法律において「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。
2 店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす。
(未成年者登記)
第五条 未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
(後見人登記)
第六条 後見人が被後見人のために第四条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
2 後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
(小商人)
第七条 第五条、前条、次章、第十一条第二項、第十五条第二項、第十七条第二項前段、第五章及び第二十二条の規定は、小商人(商人のうち、法務省令で定めるその営業のために使用する財産の価額が法務省令で定める金額を超えないものをいう。)については、適用しない。

第3章 商業登記

(通則)
第八条 この編の規定により登記すべき事項は、当事者の申請により、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)の定めるところに従い、商業登記簿にこれを登記する。
(登記の効力)
第九条 この編の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
2 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。
(変更の登記及び消滅の登記)
第十条 この編の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記又は消滅の登記をしなければならない。

第4章 商号

(商号の選定)
第十一条 商人(会社及び外国会社を除く。以下この編において同じ。)は、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。
2 商人は、その商号の登記をすることができる。
(他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止)
第十二条 何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
(過料)
第十三条 前条第一項の規定に違反した者は、百万円以下の過料に処する。
(自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任)
第十四条 自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
(商号の譲渡)
第十五条 商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。
2 前項の規定による商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
(営業譲渡人の競業の禁止)
第十六条 営業を譲渡した商人(以下この章において「譲渡人」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から二十年間は、同一の営業を行ってはならない。
2 譲渡人が同一の営業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その営業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
3 前二項の規定にかかわらず、譲渡人は、不正の競争の目的をもって同一の営業を行ってはならない。
(譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
第十七条 営業を譲り受けた商人(以下この章において「譲受人」という。)が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2 前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3 譲受人が第一項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、営業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
4 第一項に規定する場合において、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。
(譲受人による債務の引受け)
第十八条 譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡人の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡人の債権者は、その譲受人に対して弁済の請求をすることができる。
2 譲受人が前項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
(詐害営業譲渡に係る譲受人に対する債務の履行の請求)
第十八条の二号 譲渡人が譲受人に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って営業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受人に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受人が営業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2 譲受人が前項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、譲渡人が残存債権者を害することを知って営業を譲渡したことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。営業の譲渡の効力が生じた日から十年を経過したときも、同様とする。
3 譲渡人について破産手続開始の決定又は再生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、譲受人に対して第一項の規定による請求をする権利を行使することができない。

第5章 商業帳簿

第十九条 商人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。
2 商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない。
3 商人は、帳簿閉鎖の時から十年間、その商業帳簿及びその営業に関する重要な資料を保存しなければならない。
4 裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、商業帳簿の全部又は一部の提出を命ずることができる。

第6章 商業使用人

(支配人)
第二十条 商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。
(支配人の代理権)
第二十一条 支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
(支配人の登記)
第二十二条 商人が支配人を選任したときは、その登記をしなければならない。支配人の代理権の消滅についても、同様とする。
(支配人の競業の禁止)
第二十三条 支配人は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一 自ら営業を行うこと。
二 自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること。
三 他の商人又は会社若しくは外国会社の使用人となること。
四 会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2 支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。
(表見支配人)
第二十四条 商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)
第二十五条 商人の営業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
2 前項の使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)
第二十六条 物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

第7章 代理商

(通知義務)
第二十七条 代理商(商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。以下この章において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、商人に対して、その旨の通知を発しなければならない。
(代理商の競業の禁止)
第二十八条 代理商は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一 自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること。
二 その商人の営業と同種の事業を行う会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2 代理商が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。
(通知を受ける権限)
第二十九条 物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、第五百二十六条第二項の通知その他売買に関する通知を受ける権限を有する。
(契約の解除)
第三十条 商人及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
2 前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、商人及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。
(代理商の留置権)
第三十一条 代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、商人のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。
第三十二条から第五百条まで 削除

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