商法/第501条~第610条
第2編 商行為
第1章 総則
(絶対的商行為)
第五百一条 次に掲げる行為は、商行為とする。
一 利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為
二 他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為
三 取引所においてする取引
四 手形その他の商業証券に関する行為
(営業的商行為)
第五百二条 次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為とする。ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、この限りでない。
一 賃貸する意思をもってする動産若しくは不動産の有償取得若しくは賃借又はその取得し若しくは賃借したものの賃貸を目的とする行為
二 他人のためにする製造又は加工に関する行為
三 電気又はガスの供給に関する行為
四 運送に関する行為
五 作業又は労務の請負
六 出版、印刷又は撮影に関する行為
七 客の来集を目的とする場屋における取引
八 両替その他の銀行取引
九 保険
十 寄託の引受け
十一 仲立ち又は取次ぎに関する行為
十二 商行為の代理の引受け
十三 信託の引受け
(附属的商行為)
第五百三条 商人がその営業のためにする行為は、商行為とする。
2 商人の行為は、その営業のためにするものと推定する。
(商行為の代理)
第五百四条 商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない。
(商行為の委任)
第五百五条 商行為の受任者は、委任の本旨に反しない範囲内において、委任を受けていない行為をすることができる。
(商行為の委任による代理権の消滅事由の特例)
第五百六条 商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない。
第五百七条 削除
(隔地者間における契約の申込み)
第五百八条 商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
第2項 民法第五百二十四条の規定は、前項の場合について準用する。
(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)
第五百九条 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。
第2項 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。
(契約の申込みを受けた者の物品保管義務)
第五百十条 商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。ただし、その物品の価額がその費用を償うのに足りないとき、又は商人がその保管によって損害を受けるときは、この限りでない。
(多数当事者間の債務の連帯)
第五百十一条 数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。
第2項 保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。
(報酬請求権)
第五百十二条 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。
(利息請求権)
第五百十三条 商人間において金銭の消費貸借をしたときは、貸主は、法定利息を請求することができる。
2 商人がその営業の範囲内において他人のために金銭の立替えをしたときは、その立替えの日以後の法定利息を請求することができる。
第五百十四条 削除
(契約による質物の処分の禁止の適用除外)
第五百十五条 民法第三百四十九条の規定は、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、適用しない。
(債務の履行の場所)
第五百十六条 商行為によって生じた債務の履行をすべき場所がその行為の性質又は当事者の意思表示によって定まらないときは、特定物の引渡しはその行為の時にその物が存在した場所において、その他の債務の履行は債権者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)において、それぞれしなければならない。
第五百十七条から第五百二十条まで 削除
(商人間の留置権)
第五百二十一条 商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない。
第五百二十二条及び第五百二十三条 削除
第2章 売買
(売主による目的物の供託及び競売)
第五百二十四条 商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。
2 損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
3 前二項の規定により売買の目的物を競売に付したときは、売主は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を代金に充当することを妨げない。
(定期売買の履行遅滞による解除)
第五百二十五条 商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす。
(買主による目的物の検査及び通知)
第五百二十六条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
3 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。
(買主による目的物の保管及び供託)
第五百二十七条 前条第一項に規定する場合においては、買主は、契約の解除をしたときであっても、売主の費用をもって売買の目的物を保管し、又は供託しなければならない。ただし、その物について滅失又は損傷のおそれがあるときは、裁判所の許可を得てその物を競売に付し、かつ、その代価を保管し、又は供託しなければならない。
2 前項ただし書の許可に係る事件は、同項の売買の目的物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
3 第一項の規定により買主が売買の目的物を競売に付したときは、遅滞なく、売主に対してその旨の通知を発しなければならない。
4 前三項の規定は、売主及び買主の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)が同一の市町村の区域内にある場合には、適用しない。
第五百二十八条 前条の規定は、売主から買主に引き渡した物品が注文した物品と異なる場合における当該売主から買主に引き渡した物品及び売主から買主に引き渡した物品の数量が注文した数量を超過した場合における当該超過した部分の数量の物品について準用する。
第3章 交互計算
(交互計算)
第五百二十九条 交互計算は、商人間又は商人と商人でない者との間で平常取引をする場合において、一定の期間内の取引から生ずる債権及び債務の総額について相殺をし、その残額の支払をすることを約することによって、その効力を生ずる。
(商業証券に係る債権債務に関する特則)
第五百三十条 手形その他の商業証券から生じた債権及び債務を交互計算に組み入れた場合において、その商業証券の債務者が弁済をしないときは、当事者は、その債務に関する項目を交互計算から除外することができる。
(交互計算の期間)
第五百三十一条 当事者が相殺をすべき期間を定めなかったときは、その期間は、六箇月とする。
(交互計算の承認)
第五百三十二条 当事者は、債権及び債務の各項目を記載した計算書の承認をしたときは、当該各項目について異議を述べることができない。ただし、当該計算書の記載に錯誤又は脱漏があったときは、この限りでない。
(残額についての利息請求権等)
第五百三十三条 相殺によって生じた残額については、債権者は、計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求することができる。
2 前項の規定は、当該相殺に係る債権及び債務の各項目を交互計算に組み入れた日からこれに利息を付することを妨げない。
(交互計算の解除)
第五百三十四条 各当事者は、いつでも交互計算の解除をすることができる。この場合において、交互計算の解除をしたときは、直ちに、計算を閉鎖して、残額の支払を請求することができる。
第4章 匿名組合
(匿名組合契約)
第五百三十五条 匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。
(匿名組合員の出資及び権利義務)
第五百三十六条 匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する。
2 匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができる。
3 匿名組合員は、営業者の業務を執行し、又は営業者を代表することができない。
4 匿名組合員は、営業者の行為について、第三者に対して権利及び義務を有しない。
(自己の氏名等の使用を許諾した匿名組合員の責任)
第五百三十七条 匿名組合員は、自己の氏若しくは氏名を営業者の商号中に用いること又は自己の商号を営業者の商号として使用することを許諾したときは、その使用以後に生じた債務については、営業者と連帯してこれを弁済する責任を負う。
(利益の配当の制限)
第五百三十八条 出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。
(貸借対照表の閲覧等並びに業務及び財産状況に関する検査)
第五百三十九条 匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、次に掲げる請求をし、又は営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。
一 営業者の貸借対照表が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 営業者の貸借対照表が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもので法務省令で定めるものをいう。)をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
2 匿名組合員は、重要な事由があるときは、いつでも、裁判所の許可を得て、営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。
3 前項の許可に係る事件は、営業者の営業所の所在地(営業所がない場合にあっては、営業者の住所地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
(匿名組合契約の解除)
第五百四十条 匿名組合契約で匿名組合の存続期間を定めなかったとき、又はある当事者の終身の間匿名組合が存続すべきことを定めたときは、各当事者は、営業年度の終了時において、契約の解除をすることができる。ただし、六箇月前にその予告をしなければならない。
2 匿名組合の存続期間を定めたか否かにかかわらず、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、いつでも匿名組合契約の解除をすることができる。
(匿名組合契約の終了事由)
第五百四十一条 前条の場合のほか、匿名組合契約は、次に掲げる事由によって終了する。
一 匿名組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
二 営業者の死亡又は営業者が後見開始の審判を受けたこと。
三 営業者又は匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたこと。
(匿名組合契約の終了に伴う出資の価額の返還)
第五百四十二条 匿名組合契約が終了したときは、営業者は、匿名組合員にその出資の価額を返還しなければならない。ただし、出資が損失によって減少したときは、その残額を返還すれば足りる。
第5章 仲立営業
(定義)
第五百四十三条 この章において「仲立人」とは、他人間の商行為の媒介をすることを業とする者をいう。
(当事者のために給付を受けることの制限)
第五百四十四条 仲立人は、その媒介により成立させた行為について、当事者のために支払その他の給付を受けることができない。ただし、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときは、この限りでない。
(見本保管義務)
第五百四十五条 仲立人がその媒介に係る行為について見本を受け取ったときは、その行為が完了するまで、これを保管しなければならない。
(結約書の交付義務等)
第五百四十六条 当事者間において媒介に係る行為が成立したときは、仲立人は、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面(以下この章において「結約書」という。)を作成し、かつ、署名し、又は記名押印した後、これを各当事者に交付しなければならない。
一 各当事者の氏名又は名称
二 当該行為の年月日及びその要領
2 前項の場合においては、当事者が直ちに履行をすべきときを除き、仲立人は、各当事者に結約書に署名させ、又は記名押印させた後、これをその相手方に交付しなければならない。
3 前二項の場合において、当事者の一方が結約書を受領せず、又はこれに署名若しくは記名押印をしないときは、仲立人は、遅滞なく、相手方に対してその旨の通知を発しなければならない。
(帳簿記載義務等)
第五百四十七条 仲立人は、その帳簿に前条第一項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
第2項 当事者は、いつでも、仲立人がその媒介により当該当事者のために成立させた行為について、前項の帳簿の謄本の交付を請求することができる。
(当事者の氏名等を相手方に示さない場合)
第五百四十八条 当事者がその氏名又は名称を相手方に示してはならない旨を仲立人に命じたときは、仲立人は、結約書及び前条第二項の謄本にその氏名又は名称を記載することができない。
第五百四十九条 仲立人は、当事者の一方の氏名又は名称をその相手方に示さなかったときは、当該相手方に対して自ら履行をする責任を負う。
(仲立人の報酬)
第五百五十条 仲立人は、第五百四十六条の手続を終了した後でなければ、報酬を請求することができない。
第2項 仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担する。
第6章 問屋営業
(定義)
第五百五十一条 この章において「問屋」とは、自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者をいう。
(問屋の権利義務)
第五百五十二条 問屋は、他人のためにした販売又は買入れにより、相手方に対して、自ら権利を取得し、義務を負う。
第2項 問屋と委託者との間の関係については、この章に定めるもののほか、委任及び代理に関する規定を準用する。
(問屋の担保責任)
第五百五十三条 問屋は、委託者のためにした販売又は買入れにつき相手方がその債務を履行しないときに、自らその履行をする責任を負う。ただし、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときは、この限りでない。
(問屋が委託者の指定した金額との差額を負担する場合の販売又は買入れの効力)
第五百五十四条 問屋が委託者の指定した金額より低い価格で販売をし、又は高い価格で買入れをした場合において、自らその差額を負担するときは、その販売又は買入れは、委託者に対してその効力を生ずる。
(介入権)
第五百五十五条 問屋は、取引所の相場がある物品の販売又は買入れの委託を受けたときは、自ら買主又は売主となることができる。この場合において、売買の代価は、問屋が買主又は売主となったことの通知を発した時における取引所の相場によって定める。
2 前項の場合においても、問屋は、委託者に対して報酬を請求することができる。
(問屋が買い入れた物品の供託及び競売)
第五百五十六条 問屋が買入れの委託を受けた場合において、委託者が買い入れた物品の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、第五百二十四条の規定を準用する。
(代理商に関する規定の準用)
第五百五十七条 第二十七条及び第三十一条の規定は、問屋について準用する。
(準問屋)
第五百五十八条 この章の規定は、自己の名をもって他人のために販売又は買入れ以外の行為をすることを業とする者について準用する。
第7章 運送取扱営業
(定義等)
第五百五十九条 この章において「運送取扱人」とは、自己の名をもって物品運送の取次ぎをすることを業とする者をいう。
2 運送取扱人については、この章に別段の定めがある場合を除き、第五百五十一条に規定する問屋に関する規定を準用する。
(運送取扱人の責任)
第五百六十条 運送取扱人は、運送品の受取から荷受人への引渡しまでの間にその運送品が滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ、又は運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送取扱人がその運送品の受取、保管及び引渡し、運送人の選択その他の運送の取次ぎについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
(運送取扱人の報酬)
第五百六十一条 運送取扱人は、運送品を運送人に引き渡したときは、直ちにその報酬を請求することができる。
2 運送取扱契約で運送賃の額を定めたときは、運送取扱人は、特約がなければ、別に報酬を請求することができない。
(運送取扱人の留置権)
第五百六十二条 運送取扱人は、運送品に関して受け取るべき報酬、付随の費用及び運送賃その他の立替金についてのみ、その弁済を受けるまで、その運送品を留置することができる。
(介入権)
第五百六十三条 運送取扱人は、自ら運送をすることができる。この場合において、運送取扱人は、運送人と同一の権利義務を有する。
2項 運送取扱人が委託者の請求によって船荷証券又は複合運送証券を作成したときは、自ら運送をするものとみなす。
(物品運送に関する規定の準用)
第五百六十四条 第五百七十二条、第五百七十七条、第五百七十九条(第三項を除く。)、第五百八十一条、第五百八十五条、第五百八十六条、第五百八十七条(第五百七十七条及び第五百八十五条の規定の準用に係る部分に限る。)及び第五百八十八条の規定は、運送取扱営業について準用する。この場合において、第五百七十九条第二項中「前の運送人」とあるのは「前の運送取扱人又は運送人」と、第五百八十五条第一項中「運送品の引渡し」とあるのは「荷受人に対する運送品の引渡し」と読み替えるものとする。
第五百六十五条から第五百六十八条まで 削除
第8章 運送営業
第一節 総則
第五百六十九条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 運送人 陸上運送、海上運送又は航空運送の引受けをすることを業とする者をいう。
二 陸上運送 陸上における物品又は旅客の運送をいう。
三 海上運送 第六百八十四条に規定する船舶(第七百四十七条に規定する非航海船を含む。)による物品又は旅客の運送をいう。
四 航空運送 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第一項に規定する航空機による物品又は旅客の運送をいう。
第2節 物品運送
(物品運送契約)
第五百七十条 物品運送契約は、運送人が荷送人からある物品を受け取りこれを運送して荷受人に引き渡すことを約し、荷送人がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(送り状の交付義務等)
第五百七十一条 荷送人は、運送人の請求により、次に掲げる事項を記載した書面(次項において「送り状」という。)を交付しなければならない。
一 運送品の種類
二 運送品の容積若しくは重量又は包若しくは個品の数及び運送品の記号
三 荷造りの種類
四 荷送人及び荷受人の氏名又は名称
五 発送地及び到達地
2 前項の荷送人は、送り状の交付に代えて、法務省令で定めるところにより、運送人の承諾を得て、送り状に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により提供することができる。この場合において、当該荷送人は、送り状を交付したものとみなす。
(危険物に関する通知義務)
第五百七十二条 荷送人は、運送品が引火性、爆発性その他の危険性を有するものであるときは、その引渡しの前に、運送人に対し、その旨及び当該運送品の品名、性質その他の当該運送品の安全な運送に必要な情報を通知しなければならない。
(運送賃)
第五百七十三条 運送賃は、到達地における運送品の引渡しと同時に、支払わなければならない。
2 運送品がその性質又は瑕疵かしによって滅失し、又は損傷したときは、荷送人は、運送賃の支払を拒むことができない。
(運送人の留置権)
第五百七十四条 運送人は、運送品に関して受け取るべき運送賃、付随の費用及び立替金(以下この節において「運送賃等」という。)についてのみ、その弁済を受けるまで、その運送品を留置することができる。
(運送人の責任)
第五百七十五条 運送人は、運送品の受取から引渡しまでの間にその運送品が滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ、又は運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管及び引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
(損害賠償の額)
第五百七十六条 運送品の滅失又は損傷の場合における損害賠償の額は、その引渡しがされるべき地及び時における運送品の市場価格(取引所の相場がある物品については、その相場)によって定める。ただし、市場価格がないときは、その地及び時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によって定める。
2 運送品の滅失又は損傷のために支払うことを要しなくなった運送賃その他の費用は、前項の損害賠償の額から控除する。
3 前二項の規定は、運送人の故意又は重大な過失によって運送品の滅失又は損傷が生じたときは、適用しない。
(高価品の特則)
第五百七十七条 貨幣、有価証券その他の高価品については、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知した場合を除き、運送人は、その滅失、損傷又は延着について損害賠償の責任を負わない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたとき。
二 運送人の故意又は重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき。
(複合運送人の責任)
第五百七十八条 陸上運送、海上運送又は航空運送のうち二以上の運送を一の契約で引き受けた場合における運送品の滅失等(運送品の滅失、損傷又は延着をいう。以下この節において同じ。)についての運送人の損害賠償の責任は、それぞれの運送においてその運送品の滅失等の原因が生じた場合に当該運送ごとに適用されることとなる我が国の法令又は我が国が締結した条約の規定に従う。
2 前項の規定は、陸上運送であってその区間ごとに異なる二以上の法令が適用されるものを一の契約で引き受けた場合について準用する。
(相次運送人の権利義務)
第五百七十九条 数人の運送人が相次いで陸上運送をするときは、後の運送人は、前の運送人に代わってその権利を行使する義務を負う。
2 前項の場合において、後の運送人が前の運送人に弁済をしたときは、後の運送人は、前の運送人の権利を取得する。
3 ある運送人が引き受けた陸上運送についてその荷送人のために他の運送人が相次いで当該陸上運送の一部を引き受けたときは、各運送人は、運送品の滅失等につき連帯して損害賠償の責任を負う。
4 前三項の規定は、海上運送及び航空運送について準用する。
(荷送人による運送の中止等の請求)
第五百八十条 荷送人は、運送人に対し、運送の中止、荷受人の変更その他の処分を請求することができる。この場合において、運送人は、既にした運送の割合に応じた運送賃、付随の費用、立替金及びその処分によって生じた費用の弁済を請求することができる。
(荷受人の権利義務等)
第五百八十一条 荷受人は、運送品が到達地に到着し、又は運送品の全部が滅失したときは、物品運送契約によって生じた荷送人の権利と同一の権利を取得する。
2 前項の場合において、荷受人が運送品の引渡し又はその損害賠償の請求をしたときは、荷送人は、その権利を行使することができない。
3 荷受人は、運送品を受け取ったときは、運送人に対し、運送賃等を支払う義務を負う。
(運送品の供託及び競売)
第五百八十二条 運送人は、荷受人を確知することができないときは、運送品を供託することができる。
2 前項に規定する場合において、運送人が荷送人に対し相当の期間を定めて運送品の処分につき指図をすべき旨を催告したにもかかわらず、荷送人がその指図をしないときは、運送人は、その運送品を競売に付することができる。
3 損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある運送品は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
4 前二項の規定により運送品を競売に付したときは、運送人は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を運送賃等に充当することを妨げない。
5 運送人は、第一項から第三項までの規定により運送品を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、荷送人に対してその旨の通知を発しなければならない。
第五百八十三条 前条の規定は、荷受人が運送品の受取を拒み、又はこれを受け取ることができない場合について準用する。この場合において、同条第二項中「運送人が」とあるのは「運送人が、荷受人に対し相当の期間を定めて運送品の受取を催告し、かつ、その期間の経過後に」と、同条第五項中「荷送人」とあるのは「荷送人及び荷受人」と読み替えるものとする。
(運送人の責任の消滅)
第五百八十四条 運送品の損傷又は一部滅失についての運送人の責任は、荷受人が異議をとどめないで運送品を受け取ったときは、消滅する。ただし、運送品に直ちに発見することができない損傷又は一部滅失があった場合において、荷受人が引渡しの日から二週間以内に運送人に対してその旨の通知を発したときは、この限りでない。
2 前項の規定は、運送品の引渡しの当時、運送人がその運送品に損傷又は一部滅失があることを知っていたときは、適用しない。
3 運送人が更に第三者に対して運送を委託した場合において、荷受人が第一項ただし書の期間内に運送人に対して同項ただし書の通知を発したときは、運送人に対する第三者の責任に係る同項ただし書の期間は、運送人が当該通知を受けた日から二週間を経過する日まで延長されたものとみなす。
第五百八十五条 運送品の滅失等についての運送人の責任は、運送品の引渡しがされた日(運送品の全部滅失の場合にあっては、その引渡しがされるべき日)から一年以内に裁判上の請求がされないときは、消滅する。
第2項 前項の期間は、運送品の滅失等による損害が発生した後に限り、合意により、延長することができる。
第3項 運送人が更に第三者に対して運送を委託した場合において、運送人が第一項の期間内に損害を賠償し又は裁判上の請求をされたときは、運送人に対する第三者の責任に係る同項の期間は、運送人が損害を賠償し又は裁判上の請求をされた日から三箇月を経過する日まで延長されたものとみなす。
(運送人の債権の消滅時効)
第五百八十六条 運送人の荷送人又は荷受人に対する債権は、これを行使することができる時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。
(運送人の不法行為責任)
第五百八十七条 第五百七十六条、第五百七十七条、第五百八十四条及び第五百八十五条の規定は、運送品の滅失等についての運送人の荷送人又は荷受人に対する不法行為による損害賠償の責任について準用する。ただし、荷受人があらかじめ荷送人の委託による運送を拒んでいたにもかかわらず荷送人から運送を引き受けた運送人の荷受人に対する責任については、この限りでない。
(運送人の被用者の不法行為責任)
第五百八十八条 前条の規定により運送品の滅失等についての運送人の損害賠償の責任が免除され、又は軽減される場合には、その責任が免除され、又は軽減される限度において、その運送品の滅失等についての運送人の被用者の荷送人又は荷受人に対する不法行為による損害賠償の責任も、免除され、又は軽減される。
第2項 前項の規定は、運送人の被用者の故意又は重大な過失によって運送品の滅失等が生じたときは、適用しない。
第3節 旅客運送
(旅客運送契約)
第五百八十九条 旅客運送契約は、運送人が旅客を運送することを約し、相手方がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(運送人の責任)
第五百九十条 運送人は、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
(特約禁止)
第五百九十一条 旅客の生命又は身体の侵害による運送人の損害賠償の責任(運送の遅延を主たる原因とするものを除く。)を免除し、又は軽減する特約は、無効とする。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 大規模な火災、震災その他の災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において運送を行うとき。
二 運送に伴い通常生ずる振動その他の事情により生命又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者の運送を行うとき。
(引渡しを受けた手荷物に関する運送人の責任等)
第五百九十二条 運送人は、旅客から引渡しを受けた手荷物については、運送賃を請求しないときであっても、物品運送契約における運送人と同一の責任を負う。
2 運送人の被用者は、前項に規定する手荷物について、物品運送契約における運送人の被用者と同一の責任を負う。
3 第一項に規定する手荷物が到達地に到着した日から一週間以内に旅客がその引渡しを請求しないときは、運送人は、その手荷物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、運送人がその手荷物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、旅客に対してその旨の通知を発しなければならない。
4 損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある手荷物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
5 前二項の規定により手荷物を競売に付したときは、運送人は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を運送賃に充当することを妨げない。
6 旅客の住所又は居所が知れないときは、第三項の催告及び通知は、することを要しない。
(引渡しを受けていない手荷物に関する運送人の責任等)
第五百九十三条 運送人は、旅客から引渡しを受けていない手荷物(身の回り品を含む。)の滅失又は損傷については、故意又は過失がある場合を除き、損害賠償の責任を負わない。
2 第五百七十六条第一項及び第三項、第五百八十四条第一項、第五百八十五条第一項及び第二項、第五百八十七条(第五百七十六条第一項及び第三項、第五百八十四条第一項並びに第五百八十五条第一項及び第二項の規定の準用に係る部分に限る。)並びに第五百八十八条の規定は、運送人が前項に規定する手荷物の滅失又は損傷に係る損害賠償の責任を負う場合について準用する。この場合において、第五百七十六条第一項中「その引渡しがされるべき」とあるのは「その運送が終了すべき」と、第五百八十四条第一項中「荷受人が異議をとどめないで運送品を受け取った」とあるのは「旅客が運送の終了の時までに異議をとどめなかった」と、「荷受人が引渡しの日」とあるのは「旅客が運送の終了の日」と、第五百八十五条第一項中「運送品の引渡しがされた日(運送品の全部滅失の場合にあっては、その引渡しがされるべき日)」とあるのは「運送の終了の日」と読み替えるものとする。
(運送人の債権の消滅時効)
第五百九十四条 第五百八十六条の規定は、旅客運送について準用する。
第9章 寄託
第1節 総則
(受寄者の注意義務)
第五百九十五条 商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって、寄託物を保管しなければならない。
(場屋営業者の責任)
第五百九十六条 旅館、飲食店、浴場その他の客の来集を目的とする場屋における取引をすることを業とする者(以下この節において「場屋営業者」という。)は、客から寄託を受けた物品の滅失又は損傷については、不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができない。
2 客が寄託していない物品であっても、場屋の中に携帯した物品が、場屋営業者が注意を怠ったことによって滅失し、又は損傷したときは、場屋営業者は、損害賠償の責任を負う。
3 客が場屋の中に携帯した物品につき責任を負わない旨を表示したときであっても、場屋営業者は、前二項の責任を免れることができない。
(高価品の特則)
第五百九十七条 貨幣、有価証券その他の高価品については、客がその種類及び価額を通知してこれを場屋営業者に寄託した場合を除き、場屋営業者は、その滅失又は損傷によって生じた損害を賠償する責任を負わない。
(場屋営業者の責任に係る債権の消滅時効)
第五百九十八条 前二条の場屋営業者の責任に係る債権は、場屋営業者が寄託を受けた物品を返還し、又は客が場屋の中に携帯した物品を持ち去った時(物品の全部滅失の場合にあっては、客が場屋を去った時)から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。
2 前項の規定は、場屋営業者が同項に規定する物品の滅失又は損傷につき悪意であった場合には、適用しない。
第2節 倉庫営業
(定義)
第五百九十九条 この節において「倉庫営業者」とは、他人のために物品を倉庫に保管することを業とする者をいう。
(倉荷証券の交付義務)
第六百条 倉庫営業者は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
(倉荷証券の記載事項)
第六百一条 倉荷証券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、倉庫営業者がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
一 寄託物の種類、品質及び数量並びにその荷造りの種類、個数及び記号
二 寄託者の氏名又は名称
三 保管場所
四 保管料
五 保管期間を定めたときは、その期間
六 寄託物を保険に付したときは、保険金額、保険期間及び保険者の氏名又は名称
七 作成地及び作成の年月日
(帳簿記載義務)
第六百二条 倉庫営業者は、倉荷証券を寄託者に交付したときは、その帳簿に次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 前条第一号、第二号及び第四号 から第六号までに掲げる事項
二 倉荷証券の番号及び作成の年月日
(寄託物の分割請求)
第六百三条 倉荷証券の所持人は、倉庫営業者に対し、寄託物の分割及びその各部分に対する倉荷証券の交付を請求することができる。この場合において、所持人は、その所持する倉荷証券を倉庫営業者に返還しなければならない。
2 前項の規定による寄託物の分割及び倉荷証券の交付に関する費用は、所持人が負担する。
(倉荷証券の不実記載)
第六百四条 倉庫営業者は、倉荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない。
(寄託物に関する処分)
第六百五条 倉荷証券が作成されたときは、寄託物に関する処分は、倉荷証券によってしなければならない。
(倉荷証券の譲渡又は質入れ)
第六百六条 倉荷証券は、記名式であるときであっても、裏書によって、譲渡し、又は質権の目的とすることができる。ただし、倉荷証券に裏書を禁止する旨を記載したときは、この限りでない。
(倉荷証券の引渡しの効力)
第六百七条 倉荷証券により寄託物を受け取ることができる者に倉荷証券を引き渡したときは、その引渡しは、寄託物について行使する権利の取得に関しては、寄託物の引渡しと同一の効力を有する。
(倉荷証券の再交付)
第六百八条 倉荷証券の所持人は、その倉荷証券を喪失したときは、相当の担保を供して、その再交付を請求することができる。この場合において、倉庫営業者は、その旨を帳簿に記載しなければならない。
(寄託物の点検等)
第六百九条 寄託者又は倉荷証券の所持人は、倉庫営業者の営業時間内は、いつでも、寄託物の点検若しくはその見本の提供を求め、又はその保存に必要な処分をすることができる。
(倉庫営業者の責任)
第六百十条 倉庫営業者は、寄託物の保管に関し注意を怠らなかったことを証明しなければ、その滅失又は損傷につき損害賠償の責任を免れることができない。
(保管料等の支払時期)
第六百十一条 倉庫営業者は、寄託物の出庫の時以後でなければ、保管料及び立替金その他寄託物に関する費用(第六百十六条第一項において「保管料等」という。)の支払を請求することができない。ただし、寄託物の一部を出庫するときは、出庫の割合に応じて、その支払を請求することができる。
(寄託物の返還の制限)
第六百十二条 当事者が寄託物の保管期間を定めなかったときは、倉庫営業者は、寄託物の入庫の日から六箇月を経過した後でなければ、その返還をすることができない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。
(倉荷証券が作成された場合における寄託物の返還請求)
第六百十三条 倉荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、寄託物の返還を請求することができない。
(倉荷証券を質入れした場合における寄託物の一部の返還請求)
第六百十四条 倉荷証券を質権の目的とした場合において、質権者の承諾があるときは、寄託者は、当該質権の被担保債権の弁済期前であっても、寄託物の一部の返還を請求することができる。この場合において、倉庫営業者は、返還した寄託物の種類、品質及び数量を倉荷証券に記載し、かつ、その旨を帳簿に記載しなければならない。
(寄託物の供託及び競売)
第六百十五条 第五百二十四条第一項及び第二項の規定は、寄託者又は倉荷証券の所持人が寄託物の受領を拒み、又はこれを受領することができない場合について準用する。
(倉庫営業者の責任の消滅)
第六百十六条 寄託物の損傷又は一部滅失についての倉庫営業者の責任は、寄託者又は倉荷証券の所持人が異議をとどめないで寄託物を受け取り、かつ、保管料等を支払ったときは、消滅する。ただし、寄託物に直ちに発見することができない損傷又は一部滅失があった場合において、寄託者又は倉荷証券の所持人が引渡しの日から二週間以内に倉庫営業者に対してその旨の通知を発したときは、この限りでない。
2 前項の規定は、倉庫営業者が寄託物の損傷又は一部滅失につき悪意であった場合には、適用しない。
(倉庫営業者の責任に係る債権の消滅時効)
第六百十七条 寄託物の滅失又は損傷についての倉庫営業者の責任に係る債権は、寄託物の出庫の日から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。
2 前項の期間は、寄託物の全部滅失の場合においては、倉庫営業者が倉荷証券の所持人(倉荷証券を作成していないとき又は倉荷証券の所持人が知れないときは、寄託者)に対してその旨の通知を発した日から起算する。
3 前二項の規定は、倉庫営業者が寄託物の滅失又は損傷につき悪意であった場合には、適用しない。
第六百十八条から第六百八十三条まで 削除