六法目次へ

※このページの音声はありません。


第2章 中央人事行政機関

第3条 (人事院) 
内閣の所轄の下に人事院を置く。人事院は、この法律に定める基準に従って、内閣に報告しなければならない。
人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験(採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する事項を除く。)、任免(標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例及び幹部候補育成課程に関する事項(第33条第1項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であって、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の確保に関するものを含む。)を除く。)、給与(一般職の職員の給与に関する法律 (昭和二十五年法律第九十五号)第六条の二第一項 の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法並びに同法第八条第一項 の規定による職務の級の定数の設定及び改定に関する事項を除く。)、研修(第七十条の六第一項第一号に掲げる観点に係るものに限る。)の計画の樹立及び実施並びに当該研修に係る調査研究、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる。
法律により、人事院が処置する権限を与えられている部門においては、人事院の決定及び処分は、人事院によってのみ審査される。
前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。

第3条の2 (国家公務員倫理審査会)
前条第2項の所掌事務のうち職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌させるため、人事院に国家公務員倫理審査会を置く。
2 国家公務員倫理審査会に関しては、この法律に定めるもののほか、国家公務員倫理法 (平成十一年法律第百二十九号)の定めるところによる。

第4条 (職員) 
人事院は、人事官三人をもって、これを組織する。
人事官のうち一人は、総裁として命ぜられる。
人事院は、事務総長及び予算の範囲内においてその職務を適切に行うため必要とする職員を任命する。
人事院は、その内部機構を管理する。国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)は、人事院には適用されない。

第5条 (人事官) 
人事官は、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、且つ、人事行政に関し識見を有する年齢三十五年以上の者の中から両議院の同意を経て、内閣が、これを任命する。
人事官の任免は、天皇が、これを認証する。
次の各号のいずれかに該当する者は、人事官となることができない。
破産者で復権を得ない者
禁錮以上の刑に処せられた者又は第4章に規定する罪を犯し刑に処せられた者
第38条第三号又は第五号に該当する者
任命の日以前五年間において、政党の役員、政治的顧問その他これらと同様な政治的影響力をもつ政党員であった者又は任命の日以前五年間において、公選による国若しくは都道府県の公職の候補者となった者は、人事院規則の定めるところにより、人事官となることができない。
人事官の任命については、その中の二人が、同一政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなってはならない。

第6条 (宣誓及び服務) 
人事官は、任命後、人事院規則の定めるところにより、最高裁判所長官の面前において、宣誓書に署名してからでなければ、その職務を行ってはならない。
第3章第7節の規定は、人事官にこれを準用する。

第7条 (任期) 
人事官の任期は、四年とする。但し、補欠の人事官は、前任者の残任期間在任する。
人事官は、これを再任することができる。但し、引き続き十二年を超えて在任することはできない。
人事官であった者は、退職後一年間は、人事院の官職以外の官職に、これを任命することができない。

第8条 (退職及び罷免) 
人事官は、左の各号の一に該当する場合を除く外、その意に反して罷免されることがない。
第5条第3項各号の一に該当するに至った場合
国会の訴追に基き、公開の弾劾手続により罷免を可とすると決定された場合
任期が満了して、再任されず又は人事官として引き続き十二年在任するに至った場合
前項第二号の規定による弾劾の事由は、左に掲げるものとする。
心身の故障のため、職務の遂行に堪えないこと
職務上の義務に違反し、その他人事官たるに適しない非行があること
人事官の中、二人以上が同一の政党に属することとなった場合においては、これらの者の中の一人以外の者は、内閣が両議院の同意を経て、これを罷免するものとする。
前項の規定は、政党所属関係について異動のなかった人事官の地位に、影響を及ぼすものではない。

第9条 (人事官の弾劾) 
人事官の弾劾の裁判は、最高裁判所においてこれを行う。
国会は、人事官の弾劾の訴追をしようとするときは、訴追の事由を記載した書面を最高裁判所に提出しなければならない。
国会は、前項の場合においては、同項に規定する書面の写を訴追に係る人事官に送付しなければならない。
最高裁判所は、第2項の書面を受理した日から三十日以上九十日以内の間において裁判開始の日を定め、その日の三十日以前までに、国会及び訴追に係る人事官に、これを通知しなければならない。
最高裁判所は、裁判開始の日から百日以内に判決を行わなければならない。
人事官の弾劾の裁判の手続は、裁判所規則でこれを定める。
裁判に要する費用は、国庫の負担とする。

第10条 (人事官の給与) 
人事官の給与は、別に法律で定める。

第11条 (総裁) 
人事院総裁は、人事官の中から、内閣が、これを命ずる。
人事院総裁は、院務を総理し、人事院を代表する。
人事院総裁に事故のあるとき、又は人事院総裁が欠けたときは、先任の人事官が、その職務を代行する。

第12条 (人事院会議) 
定例の人事院会議は、人事院規則の定めるところにより、少なくとも一週間に一回、一定の場所において開催することを常例としなければならない。
人事院会議の議事は、すべて議事録として記録しておかなければならない。
前項の議事録は、幹事がこれを作成する。
人事院の事務処理の手続に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。
事務総長は、幹事として人事院会議に出席する。
 人事院は、次に掲げる権限を行う場合においては、人事院の議決を経なければならない。
人事院規則の制定及び改廃
削除
第22条の規定による関係大臣その他の機関の長に対する勧告
第23条の規定による国会及び内閣に対する意見の申出
第24条の規定による国会及び内閣に対する報告
第28条の規定による国会及び内閣に対する勧告
第48条の規定による試験機関の指定
第60条の規定による臨時的任用及びその更新に対する承認、臨時的任用に係る職員の員数の制限及びその資格要件の決定並びに臨時的任用の取消(人事院規則の定める場合を除く。)
第67条の規定による給与に関する法律に定める事項の改定案の作成並びに国会及び内閣に対する勧告
第87条の規定による事案の判定
十一 第92条の規定による処分の判定
十二 第95条の規定による補償に関する重要事項の立案
十三 第103条の規定による異議申立てに対する決定
十四 第108条の規定による国会及び内閣に対する意見の申出
十五 第108条の3第6項の規定による職員団体の登録の効力の停止及び取消し
十六 その他人事院の議決によりその議決を必要とされた事項

第13条 (事務総局及び予算) 
人事院に事務総局及び法律顧問を置く。
事務総局の組織及び法律顧問に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。
人事院は、毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の要求書を国の予算に計上されるように内閣に提出しなければならない。この要求書には、土地の購入、建物の建造、事務所の借上、家具、備品及び消耗品の購入、俸給及び給料の支払その他必要なあらゆる役務及び物品に関する経費が計上されなければならない。
内閣が、人事院の経費の要求書を修正する場合においては、人事院の要求書は、内閣により修正された要求書とともに、これを国会に提出しなければならない。
人事院は、国会の承認を得て、その必要とする地方の事務所を置くことができる。

第14条 (事務総長) 
事務総長は、総裁の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に、人事院の事務上及び技術上のすべての活動を指揮監督し、人事院の職員について計画を立て、募集、配置及び指揮を行い、又、人事院会議の幹事となる。

第15条 (人事院の職員の兼職禁止) 
人事官及び事務総長は、他の官職を兼ねてはならない。

第16条 (人事院規則及び人事院指令) 
人事院は、その所掌事務について、法律を実施するため、又は法律の委任に基づいて、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。人事院は、いつでも、適宜に、人事院規則を改廃することができる。
人事院規則及びその改廃は、官報をもって、これを公布する。
人事院は、この法律に基いて人事院規則を実施し又はその他の措置を行うため、人事院指令を発することができる。

第17条 (人事院の調査) 
人事院又はその指名する者は、人事院の所掌する人事行政に関する事項に関し調査することができる。
人事院又は前項の規定により指名された者は、同項の調査に関し必要があるときは、証人を喚問し、又調査すべき事項に関係があると認められる書類若しくはその写の提出を求めることができる。
人事院は、第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)に関し必要があると認めるときは、当該調査の対象である職員に出頭を求めて質問し、又は同項の規定により指名された者に、当該職員の勤務する場所(職員として勤務していた場所を含む。)に立ち入らせ、帳簿書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
第3項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第17条の2 (国家公務員倫理審査会への権限の委任) 
人事院は、前条の規定による権限(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限り、かつ、第90条第1項に規定する不服申立てに係るものを除く。)を国家公務員倫理審査会に委任する。

第18条 (給与の支払の監理) 
人事院は、職員に対する給与の支払を監理する。
職員に対する給与の支払は、人事院規則又は人事院指令に反してこれを行ってはならない。

第18条の2 (内閣総理大臣) 
内閣総理大臣は、法律の定めるところに従い、採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する事務、標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例及び幹部候補育成課程に関する事務(第33条第1項に規定する根本基準の実施につき必要な事務であって、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の確保に関するものを含む。)、一般職の職員の給与に関する法律第六条の二第一項 の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法並びに同法第八条第一項 の規定による職務の級の定数の設定及び改定に関する事務並びに職員の人事評価(任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)、研修、能率、厚生、服務、退職管理等に関する事務(第3条第2項の規定により人事院の所掌に属するものを除く。)をつかさどる。
内閣総理大臣は、前項に規定するもののほか、各行政機関がその職員について行なう人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一保持上必要な総合調整に関する事務をつかさどる。

第18条の3 (内閣総理大臣の調査) 
内閣総理大臣は、職員の退職管理に関する事項(第106条の2から第106条の4までに規定するものに限る。)に関し調査することができる。
第17条第2項から第5項までの規定は、前項の規定による調査について準用する。この場合において、同条第2項中「人事院又は前項の規定により指名された者は、同項」とあるのは「内閣総理大臣は、第18条の3第1項」と、同条第3項中「第1項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)」とあるのは「第18条の3第1項の調査」と、「対象である職員」とあるのは「対象である職員若しくは職員であった者」と、「同項の規定により指名された者に、当該職員」とあるのは「当該職員」と、「立ち入らせ」とあるのは「立ち入り」と、「検査させ、又は関係者に質問させる」とあるのは「検査し、若しくは関係者に質問する」と読み替えるものとする。

第18条の4 (再就職等監視委員会への権限の委任) 
内閣総理大臣は、前条の規定による権限を再就職等監視委員会に委任する。

第18条の5 (内閣総理大臣の援助等) 
内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。
内閣総理大臣は、官民の人材交流(国と民間企業との間の人事交流に関する法律 (平成十一年法律第二百二十四号)第二条第三項 に規定する交流派遣及び民間企業に現に雇用され、又は雇用されていた者の職員への第36条ただし書の規定による採用その他これらに準ずるものとして政令で定めるものをいう。第54条第2項第七号において同じ。)の円滑な実施のための支援を行う。

第18条の6 (官民人材交流センターへの事務の委任) 
内閣総理大臣は、前条に規定する事務を官民人材交流センターに委任する。
内閣総理大臣は、前項の規定により委任する事務について、その運営に関する指針を定め、これを公表する。

第18条の7 (官民人材交流センター) 
内閣府に、官民人材交流センターを置く。
官民人材交流センターは、この法律及び他の法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
官民人材交流センターの長は、官民人材交流センター長とし、内閣官房長官をもって充てる。
官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの事務を統括する。
官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求め、又は意見を述べることができる。
官民人材交流センターに、官民人材交流副センター長を置く。
官民人材交流副センター長は、官民人材交流センター長の職務を助ける。
官民人材交流センターに、所要の職員を置く。
内閣総理大臣は、官民人材交流センターの所掌事務の全部又は一部を分掌させるため、所要の地に、官民人材交流センターの支所を置くことができる。
10 第3項から前項までに定めるもののほか、官民人材交流センターの組織に関し必要な事項は、政令で定める。

第19条 (人事記録) 
内閣総理大臣は、職員の人事記録に関することを管理する。
内閣総理大臣は、内閣府、各省その他の機関をして、当該機関の職員の人事に関する一切の事項について、人事記録を作成し、これを保管せしめるものとする。
人事記録の記載事項及び様式その他人事記録に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
内閣総理大臣は、内閣府、各省その他の機関によって作成保管された人事記録で、前項の規定による政令に違反すると認めるものについて、その改訂を命じ、その他所要の措置をなすことができる。

第20条 (統計報告)
内閣総理大臣は、政令の定めるところにより、職員の在職関係に関する統計報告の制度を定め、これを実施するものとする。
内閣総理大臣は、前項の統計報告に関し必要があるときは、関係庁に対し随時又は定期に一定の形式に基いて、所要の報告を求めることができる。

第21条 (権限の委任)
人事院又は内閣総理大臣は、それぞれ人事院規則又は政令の定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を他の機関をして行なわせることができる。この場合においては、人事院又は内閣総理大臣は、当該事務に関し、他の機関の長を指揮監督することができる。

第22条 (人事行政改善の勧告)
人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。
前項の場合においては、人事院は、その旨を内閣に報告しなければならない。

第23条 (法令の制定改廃に関する意見の申出)
人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。

第23条の2 (人事院規則の制定改廃に関する内閣総理大臣からの要請)
内閣総理大臣は、この法律の目的達成上必要があると認めるときは、人事院に対し、人事院規則を制定し、又は改廃することを要請することができる。
内閣総理大臣は、前項の規定による要請をしたときは、速やかに、その内容を公表するものとする。

第24条 (業務の報告)
人事院は、毎年、国会及び内閣に対し、業務の状況を報告しなければならない。
内閣は、前項の報告を公表しなければならない。

第25条 (人事管理官)
内閣府及び各省並びに政令で指定するその他の機関には、人事管理官を置かなければならない。
人事管理官は、人事に関する部局の長となり、前項の機関の長を助け、人事に関する事務を掌る。この場合において、人事管理官は、中央人事行政機関との緊密な連絡及びこれに対する協力につとめなければならない。

第26条 削除