刑事訴訟法

第3編 上訴

第1章 通則


第三百五十一条(上訴権者)
検察官又は被告人は、上訴をすることができる。
. 第二百六十六条第二号(管轄地方裁判所の付審判)の規定により裁判所の審判に付された事件と他の事件とが併合して審判され、一個の裁判があった場合には、第二百六十八条第二項(公訴の維持のための検察官)の規定により検察官の職務を行う弁護士及び当該他の事件の検察官は、その裁判に対し各々独立して上訴をすることができる。

第三百五十二条(同前)
検察官又は被告人以外の者で決定を受けたものは、抗告をすることができる。

第三百五十三条(同前)
被告人の法定代理人又は保佐人は、被告人のため上訴をすることができる。

第三百五十四条(同前)
勾留に対しては、勾留の理由の開示があったときは、その開示の請求をした者も、被告人のため上訴をすることができる。その上訴を棄却する決定に対しても、同様である。

第三百五十五条(同前)
原審における代理人又は弁護人は、被告人のため上訴をすることができる。

第三百五十六条(同前)
前三条の上訴は、被告人の明示した意思に反してこれをすることができない。

第三百五十七条(同前)
上訴は、裁判の一部に対してこれをすることができる。部分を限らないで上訴をしたときは、裁判の全部に対してしたものとみなす。

第三百五十八条(上訴定期期間)
上訴の提起期間は、裁判が告知された日から進行する。

第三百五十九条(上訴の放棄・取下げ)
検察官、被告人又は第三百五十二条(上訴権者(検察官又は被告人以外の者))に規定する者は、上訴の放棄又は取下をすることができる。

第三百六十条(同前)
第三百五十三条(上訴権者(法定代理人又は保佐人))又は第三百五十四条(勾留理由の開示請求者の上訴権者)に規定する者は、書面による被告人の同意を得て、上訴の放棄又は取下をすることができる。

第三百六十条の二(上訴放棄の制限)
死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に処する判決に対する上訴は、前二条の規定にかかわらず、これを放棄することができない。

第三百六十条の三(上訴放棄の手続)
上訴放棄の申立は、書面でこれをしなければならない。

第三百六十一条(上訴放棄・取下げと再上訴)
上訴の放棄又は取下をした者は、その事件について更に上訴をすることができない。上訴の放棄又は取下に同意をした被告人も、同様である。

第三百六十二条(上訴権回復)
第三百五十一条(上訴権者)乃至第三百五十五条(上訴権者(代理人又は弁護人))の規定により上訴をすることができる者は、自己又は代人の責に帰することができない事由によって上訴の提起期間内に上訴をすることができなかったときは、原裁判所に上訴権回復の請求をすることができる。

第三百六十三条(同前)
上訴権回復の請求は、事由が止んだ日から上訴の提起期間に相当する期間内にこれをしなければならない。
. 上訴権回復の請求をする者は、その請求と同時に上訴の申立をしなければならない。

第三百六十四条(同前)
上訴権回復の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第三百六十五条(同前)
上訴権回復の請求があったときは、原裁判所は、前条の決定をするまで裁判の執行を停止する決定をすることができる。この場合には、被告人に対し勾留状を発することができる。

第三百六十六条(同前)
刑事施設にいる被告人が上訴の提起期間内に上訴の申立書を刑事施設の長又はその代理者に差し出したときは、上訴の提起期間内に上訴をしたものとみなす。
. 被告人が自ら申立書を作ることができないときは、刑事施設の長又はその代理者は、これを代書し、又は所属の職員にこれをさせなければならない。

第三百六十七条(同前)
前条の規定は、刑事施設にいる被告人が上訴の放棄若しくは取下げ又は上訴権回復の請求をする場合にこれを準用する。

第三百六十八条 ~ 第三百七十一条(検察官上訴と費用の補償)削除

第四節 公判の裁判の特例

第二章 控訴へ